投資銀行以外にも人生はある-職を失った香港バンカーの身の処し方
(ブルームバーグ): 香港の金融業界では際限なく雇用が削減されているように見えるが、仕事を失ったバンカーはどのように再起を図るのだろうか。
人材紹介会社ハドソンの香港責任者、シド・サイバル氏によれば、通常であればシニアバンカーは普通の企業の最高財務責任者(CFO)になり、ジュニアバンカーは財務部や投資者向け広報(IR)部に入るのが一般的だという。しかし、今は異常に残酷な時代だ。
一部の人にとって幸いなことに、政府系ファンドやプライベートエクイティー投資会社、ヘッジファンドなど、中東の資産運用業界からの採用はここ半年から1年半の間好調だったという。
また、需要の増加に伴い最近多くの中国語を話す人材がドバイやドーハに移っており、中国でのディールメーキングを理解していることが役立っているとサイバル氏は言う。
中東以外では募集が少ないため、慣例にとらわれないキャリアチェンジを目指す人もいるという。
サイバル氏によると、一部のバンカーは故郷の中国本土に戻り、大幅な減給を覚悟でリテール銀行や商業銀行に転職した。
レストランやタピオカティーチェーンに投資した者もいる(茶百道でないことを祈る)。ある元シニアバンカーは、友人の不動産を改築する請負業者になった。
転職先リストはまだまだ続く。結局のところ、投資銀行以外にも人生はあるのだ。
ある企業のCFOは10年近く前に銀行の職を失ったとき、最初は金融業界からのオファーに目を向けたが、最終的には他業界の企業での職に就くよう勧める友人の言葉に動かされたと話した。転職したことで、ノウハウを学ぶのに時間はかかったが、今では自分の仕事がより有意義なものだと感じているという。
独立する人もいる。
ヘルマン・ファンデンウォールベーク氏は2015年に投資銀行を辞めたとき、自分がボスになってポジティブな影響を与えるプロジェクトをやりたいと考えた。同氏の最初のプロジェクトの一つは、クスコとマチュピチュの中間に位置するペルーのアンデス山脈で、環境に優しいリゾート、ラスコルカスを始めることだった。