日本の未婚男性はなぜ、飛びぬけて死ぬのが早いのか? その「死因」と50歳を過ぎた未婚男性の”ガチの敵”とは?
早すぎる未婚男性の死因
中央値とはデータを若い順番に並べて、ちょうど中央に位置する値のことをいいます。となると、生涯未婚男性の完全に半数が67歳までに死んでいるのです。みなさんも十数年後、すでに半分の方々は死んでいることになります。未婚男性の寿命は男性全体の平均寿命81歳には遠く及ばず、知らなかった筆者は愕然としました。 最近、人生100年時代と騒がれています。しかし、100年間も生きるのは、家族や人間関係、経済的に恵まれた、孤独とは縁遠い人たちです。未婚の単身暮らしで、孤独を抱えながら生きる未婚男性は長寿とは無縁なのです。 50歳のみなさんの世代は社会保障が現在と比べると極端に縮小して、もっと状況が悪化していることでしょう。実際にアラフィフである筆者の同年代の友人、知人は、すでに何人も死んでしまいました。みんな結婚をしなかった、できなかった人たちです。最期のゴングは、もう鳴りはじめているのです。 67歳で死ぬのは早すぎます。 年金受給がはじまって2年目、100年生きると張り切る親より早く死ぬ人もたくさんいるでしょう。葬式は終末期の親に見送られ、みなさんが核家族育ちの一人息子だとすると、親の財産を相続することもできません。親とみなさんがせっかく築いた財産も、一人息子が死んでしまったので国庫に納めることになります。 早すぎる未婚男性の死因は、もちろん老衰ではありません。 死因を見てみると、腎不全、糖尿病、高血圧性疾患などの生活習慣病に、悪性癌となっています。未婚男性の食生活はカップラーメンやコンビニ弁当、ポテチとかファストフードでしょうか。安価な外食や間食が中心で、手料理が中心の有配偶者とは食生活が異なります。それと、孤独による精神的なストレスで早期に悪性癌を誘発したのかもしれません。 残念ながら現在50歳の生涯未婚のみなさんに、残された時間は長くはありません。現在は医療が発達しているので、人間は簡単には死にません。寿命の前に、健康寿命を通過します。 健康寿命とは健康上の問題で制限なく、日常生活を送ることができる期間のことで、寿命-健康寿命は9年といわれています。となると、現在50歳のみなさんは、8年後あたりを目安になにかしら健康を壊し、数年間は苦しみもがく闘病して寿命を迎えるということです。 生涯未婚で50歳は、10年生存率50%の重病を患っているのと同等の危険な状態だといえるのです。若い頃のように「束縛されたくない」「自由でいたい」「お金を自由に使いたい」なんて言っている場合でないことは、終焉が迫ったみなさんにはわかっていただけたかと思います。 文/ 中村淳彦
---------- 中村淳彦(なかむら あつひこ) 1972年、東京都生まれ。ノンフィクションライター。貧困や介護、AV女優、風俗などの分野でフィールドワークを行い、執筆を続ける。貧困化する日本の現実を可視化するために、過酷な現場の話にひたすら耳を傾けている。著書に『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)、『日本の貧困女子』(SB新書)、『職業としてのAV女優』『パパ活女子』(ともに幻冬舎新書)、『悪魔の傾聴 会話も人間関係も思いのままに操る』(飛鳥新社)、『歌舞伎町と貧困女子』(宝島社新書)など多数。 ----------
中村淳彦