第93回選抜高校野球 1回戦 明徳義塾、光る守備 最後まで接戦も惜敗 /高知
<センバツ2021> 19日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕した第93回選抜高校野球大会1回戦で、明徳義塾は仙台育英(宮城)に0―1で惜敗した。前半にミスが重なり、打たれたヒットは10本。それでも後半は持ち味の好守備を連発し、最後の最後まで反撃のチャンスをうかがっていた。アルプススタンドに駆けつけた約350人の学校関係者は、感染防止対策で声が出せないもどかしさを感じながらも祈るような思いで試合を見守り、大きな拍手で選手らの健闘をたたえた。【北村栞、塩月由香】 「とにかく自信を持ってやってくれたら。私も緊張しています」。エース・代木大和投手(3年)の母麻美さん(40)は息子の成長を信じていた。期待に応えた代木投手は先頭打者から三振を奪い、一回裏は3者凡退に抑える上々の立ち上がりを見せた。 ところが二回の裏、先制点を許す。「(勝敗を分けたのは)僕の送球ミスです」と悔やんだ米崎薫暉主将(3年)。だが、以降は冷静なプレーで追加点を許さなかった。 最初のチャンスは四回。森松幸亮選手(3年)が四球で出塁すると、4番の高松紳志選手(3年)がライト前ヒットを放った。得点こそならなかったが、三塁まで走りチャンスを広げた森松選手の姿に父保智さん(37)は「楽しんで生き生きとしてる」と目を細めた。 得点が奪えないまま五回が終了。「心は一つ」と書かれたカードを首から下げた応援団長の下村圭人さん(3年)は「後半は明徳持ち前の守備からリズムを作って点を取る野球で逆転してほしい」とグラウンドを見つめる。 後半は仙台育英の強力打線が襲いかかった。だが六回裏、先頭打者の深い当たりを山蔭一颯選手(3年)が体を張ってダイビングキャッチ。その後の満塁のピンチも、ファーストゴロからのダブルプレーでしのいだ。 続く七回裏では2死一、二塁の場面でレフト前に飛んだ打球を高松選手が滑り込んで見事グローブに収め、アウトに。「(センターを守る)森松の『勝負できる』という横の声があったので勝負できた」と振り返った。 定評のある守備面でたびたび見せ場を作った明徳義塾だったが、巧みな投球を続ける相手投手を最後まで攻略できず、試合は終了。それでも最後まで粘り、接戦を戦い抜いた選手たちにスタンドからは惜しみない拍手が送られた。 ◇夏へ、打撃の強化目指す 攻守にわたって勝敗のカギ 加藤愛己捕手(3年) 「勝てる試合やったんで、何とも言えないです」。試合終了後にそう漏らした。先発した代木大和投手(3年)の調子が良かっただけに、チャンスで打てなかった悔しさがにじんだ。「大事なポジション」と自分で言い続けてきた扇の要はこの一戦、攻守にわたって勝敗のカギを握っていた。 どうしても、打ちたかった。四回のチャンス。1死一、三塁で打席が回ってきた。真っすぐを狙っていたが、2球目の高めのインコースを空振りして全てが狂った。結果は三振。「打ちたいという気持ちだけで、冷静な精神力が足りていなかった」 一方の守備ではきっちり仕事を果たした。六回のダブルプレーはもう1点も許せない状況の中、1死二、三塁の場面の伝令で「満塁策でも構わない」との意識をベンチと共有。岩城龍ノ介選手(3年)が本塁を刺し、自身は一塁へ送球。冷静さを保った作戦通りのプレーだった。昨秋の大会で39盗塁を記録した仙台育英の足の速さは当然警戒していたが、この日の盗塁はゼロ。「投手との共同作業なので結果オーライ」と話すが、相手の持ち味を奪ったことが最少失点にもつながった。 「勝負どころでの一本」はずっと自分に言い聞かせてきた課題だ。「高知にも好投手がいるので打撃力を強化していきたい」。この思いの全てを夏にぶつける。【北村栞】 ◇足そろい、堂々の入場 ○…新型コロナウイルス対策のため、19日の開会式は多くのチームが事前に撮影した行進動画を映すだけとなった。そんな中、当日に試合があった明徳義塾の選手らは実際のグラウンドを行進。プラカードを持ったマネジャーの相川空翔さん(3年)と、センバツ旗を持った米崎薫暉主将(3年)を先頭に、選手たちは手足をぴたりとそろえ、堂々と入場した。米崎主将は「久しぶりに観客がいる中、32(校)分の6(校の確率)で行進ができたのはとても良い経験になった」と話した。 ……………………………………………………………………………………………………… 明徳義塾 000000000=0 01000000×=1 仙台育英