【大学野球】明大・宗山塁2安打発進に侍・井端監督「タイプ的には…」あのレジェンドになぞらえ称賛
◆東京六大学野球春季リーグ戦第2週第1日▽明大-東大(20日・神宮) 今秋ドラフトの投打の超目玉がそろって躍動した。明大の宗山塁遊撃手(4年)が今春リーグ戦初戦の東大1回戦で2安打2打点と活躍。2月末の右肩甲骨骨折から驚異的な回復を遂げ、7球団9人のスカウトをうならせた。視察した侍ジャパン・井端弘和監督(48)は「タイプ的には鳥谷」と通算2099安打を放ったレジェンドになぞらえて称賛した。また関西学生リーグでは最速154キロ左腕、関大・金丸夢斗投手(4年)が立命大を3安打無四死球、10Kで完封。侍ジャパントップチームの選出経験を持つ両者が実力を見せつけた。 間に合った。宗山の全身からは野球ができる喜びがあふれていた。午前9時58分。三塁側ベンチからいい表情で本塁付近に飛び出した。一礼して、プレーボール。44年ぶりに復活したグレー基調のユニホームに身を包み、大きな声を出した。 「普通にいつも通り、100%でやれています」 いきなり全開だ。初回1死、遊撃の守備で軽快にランニングスローを披露。4点リードの2回無死一、三塁では左前に運び、今春初安打初打点をマークした。打者一巡で回ってきた2死一、二塁は中前にはじき返し、2打席連続適時打。この回、打者16人の猛攻。リーグの1イニング最多得点(13点)へあと1点に迫る、明大では最多タイの12点。終わってみれば、明大史上2位タイの21得点という大勝に貢献した。「勝負どころの打席は大事にしている」と力を込めた。 2月29日のオープン戦で死球を受け、右肩甲骨を骨折した。診断は全治3か月。だが心は折れなかった。田中武宏監督(63)は語る。「敵地でのオープン戦に『僕も行っていいですか?』って言うんだ。残ってリハビリでいいのに」。ベンチ入りし、声を出した。「主将という立場で試合に出られなくても、できることはある。野球以外のところで力になりたかった」と宗山。キャプテンのプライドだった。 災い転じて福と成す。指揮官は「死球が当たる前は大きいのを狙い出して、打球を上げようとしてスイングの軌道が悪かった」と証言する。だが復帰後、下半身鍛錬の成果もあり、シュアな打棒に戻った。これでリーグ戦通算96安打。明大・高山俊(現オイシックス)のリーグ記録131安打の更新も射程圏だ。 視察した井端監督も「守備は抜群。広角に打てるのも持ち味。力強いスイングも去年より増している」と賛辞を口にし「早い段階から主力を張れる。タイプ的には鳥谷」と断言した。スタメンで唯一のフル出場。もう不安はない。「まだ10勝の中の1勝。リーグ優勝、大学4冠へやっていきたい」と宗山。熱いシーズンが、幕を開けた。(加藤 弘士) 西武・渡辺GM「いいものを見られた。攻守ともに上位クラスにある。競合もあるでしょうね」 広島・苑田スカウト統括部長「獲得した球団は10年間、ショートを任せられるだろう。けがについては違和感なく、何の心配もない。出てきた瞬間、すごい拍手だった。人気もすごいね」 中日・八木スカウト「去年より体が大きくなり“打感”もいい。今年はさらに長打が増えるのではないでしょうか」 ◆宗山 塁(むねやま・るい) ▽生まれとサイズ 2003年2月27日、広島・三次市生まれ。21歳。175センチ、78キロ。右投左打。50メートル走6秒2。遠投110メートル ▽球歴 三良坂小1年から三良坂少年野球クラブで野球を始め、小6ではカープジュニアでプレー。三良坂中では軟式の高陽スカイバンズで投手と遊撃手。広陵では1年夏からベンチ入り。1年秋から二塁、2年春から遊撃のレギュラー。1年夏と2年春に甲子園出場。 ▽大学で急成長 明大では1年春からベンチ入りし、遊撃のレギュラー。2年春に首位打者。ベストナイン3度。2、3年と大学日本代表 ▽憧れの選手 巨人・二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチ。中学時代は二岡コーチの兄・聡さんに指導を受けた縁も ▽守備も一流 3月の侍ジャパンでは球界屈指の遊撃手・源田(西武)に弟子入り。一緒にノックを受け「すごいうまいなと思いました」と絶賛された ▽好きな食べ物 焼き肉。府中駅前の「ホルモンなかむら」が行きつけ
報知新聞社