【山口県】周南警察署、旧徳山商高跡地に移転 敷地は2倍、隣は防災拠点
8年後に供用開始、総事業費55億円
建設から半世紀が過ぎた山口県周南市の周南警察署の移転計画が明らかになった。移転先は現在地から約2キロ離れた旧徳山商高の跡地約2万2千平方メートルのうち約1万2千平方メートルで、現在の約2倍になる。県は今から8年後の2032年の供用開始を想定している。総事業費は約55億円。 (山上達也)
71年の建設から53年経過
周南警察署は1876年(明治9年)に発足した「花岡警察出張署徳山分屯所」が前身で、10年後の86年に「徳山警察署」▽2003年に「周南警察署」に改称された。現庁舎は徳山警察署時代の1971年に建設されたもので、それまでは桜馬場通の現在の山口銀行徳山支店の位置にあった。 現在の管轄区域は周南市の徳山、新南陽、鹿野地域。熊毛地域は光警察署の管轄になっている。管内には旧周南西署(かつての新南陽署)の周南西幹部交番をはじめ、交番3▽駐在所9▽警察官連絡所2を配置している。
校舎と体育館の解体費に3,900万円計上
現在の庁舎は、鉄筋コンクリート4階建てで、延床面積は3,656平方メートル。建設当初は都市計画道路が現在の周南署近くまで建設される予定で、利便性を考慮して現在地に建てられたが、その後半世紀たってもこの計画は進まないままだった。 庁舎も築53年が経過して老朽化している上、署員の増加やパソコンなどの設備が増えて手狭になり、エレベーターも全くないため、移転して建て替えることになった。 新しい庁舎は鉄筋コンクリート4階建て、延べ床面積は5,952平方メートル。24年度は用地測量費や既存建物(旧徳山商高の校舎と体育館)の解体設計費などに3,992万円を当初予算案に計上して県議会2月定例会に提案しており、11日(月)からの文教警察委員会(坂本心次委員長)で審査される。現在の建物は移転後に解体するが、跡地の活用策は未定。
一昨年の県議会代表質問から計画具体化
周南警察署の新築移転は、一昨年3月の県議会の代表質問で周南市選出の友広巌県議(自由民主党)が「警察機能の充実強化」をただしたのに対して、当時の中西章県警本部長が答弁の中で言及している。 中西本部長は「防府警察署や周南警察署をはじめとする老朽化、狭あい化した警察署についても災害警備活動の拠点として、あるいはデジタル化や感染症対応、利用者の利便性向上の観点からも十分となる施設とすべく、集中的かつ計画的な建て替え整備を進めたい」と方針を示した。 移転先の旧徳山商高跡地は市の防災拠点となる周南緑地公園に隣接し、避難所の機能が想定されるキリンビバレッジ周南総合スポーツセンター(4月からゼオンアリーナ周南)にも近い。 完成は8年先になるが、地域の治安拠点としての機能強化▽行政サービスの充実▽防災拠点としての機能強化に大きな期待が寄せられそうだ。