「被災地の今を未来に残したい」映画撮影中に被災した映像作家の決意
今回の能登半島地震で被災した人の中に、映画の撮影のために県外から珠洲市を訪れていた男性がいます。男性は、特別な思いで変わり果てた町の景色を見つめていました。 【写真を見る】「被災地の今を未来に残したい」映画撮影中に被災した映像作家の決意 珠洲市の蛸島小学校。この場所で、避難所のスタッフとして汗を流す男性がいました。 避難所でのやりとり 「名前、電話番号、時期、現住所を…。まとめて。もう提出したいんです」 「これパソコンでやった方いいっすよ」 「手書きの方が味があるじゃん」 有馬尚史さん(36)。本業は映像作家です。 有馬尚史さん(36) 「避難所のルールの草案…ひな型を作ってます。ルールを守って生活していかないと元気な方もそのうち元気じゃなくなってしまうので」 関東出身の有馬さんは、珠洲市で震度6強を観測した去年5月の地震をきっかけに、珠洲に縁があった知り合いとともに能登の復興の様子をドキュメンタリー映画に残すことを決意。年末年始を過ごす住民たちの姿を撮影しようと、先月28日から珠洲市を訪れていました。 その最中に起きた、大地震。有馬さんは、珠洲市蛸島町の撮影期間中に拠点として借りていた住宅で被災し、近くの小学校に身を寄せることになりました。 有馬尚史さん(36) 「一番酷かった正院の祭りが去年出来なくて、来年正院町で撮影をしたら終わりかと思っていたので、8割くらいは撮影は終わっていた感じ。復興の兆しが見えてきた中でこういうこと、しかもよりひどい状況で。言葉にないというか知り合った皆さんの気持ちを考えると涙が出そう」 自然の脅威によって、変わり果てた珠洲の街並み。今年の年末を予定していたという映画の完成は先行きが見通せなくなったものの「被災地の今を記録し続ける」という有馬さんの強い想いは変わりません。 有馬尚史さん(36) 「毎日どうしようかなと、でもただ撮るしかないんだろうって。去年から知り合った人達には『撮って』『記録して』と言われるんです。こういう状況を未来に伝えていかなくてはいけないと思う」
北陸放送