診断慣れしているからこそ「リアルを知りたい」…言葉の強弱、バランスが求められる令和の占いブーム
2000年代前半は恐怖心をあおったり、インパクトのある毒舌でエンタメとしてパッケージングされていた占いコンテンツ。現在は「令和の占いブーム」と言われ、約1兆円規模の市場まで成長し、さらなる活況を呈している。占い師のトークを見ていても、明らかに平成とは異なる動きが。相談者に寄り添いながら悩みを深掘りしていったり、相手をなるべく傷つけない物言いになっていたり、時代に即したムーブメントになっている。占いがここまで多様に広がり、人気となっているのはいったいなぜなのか。2020年にYouTubeで占いを始め、半年で10万人を超す視聴者を獲得した占い師・あんずまろんさんに占いの“今”について聞いた。 【神回】再生回数20万回越え…あんずまろんさんが占う24年の運勢、1月-6月にあなた様に起こること
■次から次へと起こる変化に「心が追いつかない」占いが拠り所に
人が難しい判断を迫られた際の基準として古代より重宝されてきた「易(易経)」をはじめ、政治家や大企業のトップにも信じられてきた「占い」。「平成」を考案したと言われる安岡正篤、 歴代の総理大臣や各界の著名人などとの交友関係も広かった藤田小女姫、占い番組による視聴率女王として君臨していた細木数子など、時代によってカリスマ的占い師が存在していた。過去の歴史を振り返っても、バブル崩壊、災害、新興宗教、世紀末の社会不安から占いが流行る流れが必然としてあったことが伺える。 あんずまろんさんは、コロナ禍だった2020年にYouTubeで占いを始め、半年で10万人を超す視聴者を獲得した。3年を経た現在、25万人ものチャンネル登録者を抱え、相談者を傷つけずに寄り添う彼女の占い方は「#あんまろ掘り」として親しまれる。先行きの見えない不安のなかで「自分はこれで正しいのかという答えを求める人が増えている」と分析する。 「大企業の不正が暴かれたり、コロナ禍で先行きが見えないなど、混沌とした世の中の雰囲気があること。それに加え、ネット社会になって人と自分を比較することが増えたことで、自分の選択は本当に正しいのかという“答え”を求めたくなる人々の心理があります。不安やフラストレーションの蓄積から、占いの力を借りたくなる人が増えたように思います。そもそも今、占い師自体も増えているのですが、もとはその方たちも自分自身と向き合うなかで、自分の不安を拭うために、占いを学んだのがきっかけという方が多いんです」 2020年以降、先の言葉にある不安とフラストレーションが高まる時代背景を表すように、「一部の占い好きの人が集まってきた」というよりは、「占いをしてもらうのは初めて」という相談者が多かったと振り返る。 「占いブームと言われるようになるほど利用者が増えたのは、間違いなくコロナ禍の影響が大きかったと思います。例えば、今まで直接会えていた人と会えなくなったり、ネットワークでの関わりしか持てなくなったことによって、相手の真意がわからないという不安を訴える方が非常に多くいました。さらに、直接会えるようになってからは、今度はそれまでとのギャップについていけないという悩みが増えました。同時に、国内外を含めた世界情勢だけでなく、SNSツールのXもそうですけど、次から次へと起こる変化に、心がついていけない。心のよりどころをどこに置けばいいのかわからない方が今、多いと感じています」