水森かおりが石川県輪島市の復興イベントで熱唱 歌で元気は届いたか…/芸能ショナイ業務話
歌手、水森かおり(51)が石川・輪島市で開催された能登半島地震の復興支援イベントに出演した。〝ご当地ソングの女王〟と呼ばれており、2008年には「輪島朝市」のヒットでNHK紅白歌合戦に出場。持ち前の明るいキャラクターを交えて同曲を歌唱した。 輪島朝市は平安時代から約1200年の歴史を持つ。会場は中心の朝市通りから近い交流施設、輪島マリンタウンの特設ステージだった。主催は復興支援を展開する地元有志の団体「チーム輪島人」で輪島市などが協力した。朝市組合も名産のふぐを調理した約200食のふぐ汁を用意。会場には約270戸の仮設住宅が隣接しており、水森は集まった被災者らにふぐ汁を笑顔で手渡し、スマートフォンの撮影などに快く応じていた。 市の担当者によると、市内の仮設は約2900戸。9月の豪雨被害で約290戸の建築も新たに始まった。「豪雨で浸水した仮設もある」。度重なる災害にため息をついた。 朝市通りは地震による大規模火災で200棟以上が被害を受け、約5万平方メートルが焼失。延焼防止を想定した広めの道幅だが、燃えた家屋が道側に倒れて燃え広がったという。がれきの撤去作業は大半が終了し、整備のため立ち入り禁止の区域もあるが、半壊のまま手つかずの家屋も。奥能登の古社で知られる重蔵神社も被害を受けたままだった。 イベント前に担当者の案内で被害を目の当たりにしたが、ステージには地元の中高校生、一般など幅広い年代で編成された地元のブラスバンドが登場。水森とコラボして「上を向いて歩こう」を披露すると会場は「アンコール!」の大合唱。水森とブラスバンドは快諾し、声量豊かな歌声と弾むような演奏が響いた。 朝市通りの入り口には「輪島朝市」の歌碑があり、倒壊などの被害はまぬがれたが、水森自身はイベント後「大変な思いをされている方に『歌で元気を届けに来ました』とは軽く言えない」と静かな口調で心境を告白。それでも、歌や演奏を届けたいといういちずな思いと、そのパフォーマンスに呼応する拍子や声援、笑顔や涙、友達同士で歌唱と演奏を撮影して喜ぶ若者など、バラバラだからこそ個人の思いが自然にあふれる反応に〝歌の力〟を感じた。(山内倫貴)