福島県石川町の官製談合事件 携帯、供述逮捕の決め手 元土木会社の2人 周囲に不正認める話
歴代町長4人に仕えたという元町職員の70代男性は「(塩田容疑者が)町長になろうとしていた時期に『スポンサーになってくれ』と町内の土木と建設業者を歩き回っていた」と証言する。「援助してくれという意味だったのだろう」と補足した。 自営業の30代男性は、塩田容疑者が支援者には物腰柔らかに対応する一方で、応援してくれない住民には素っ気ない態度を取っていたと感じた。「選挙のためなら何でもするような印象を受けた」という。 ■40年来の関係 関根、添田両容疑者は昨年7月に志賀建設を退社するまで、約40年間にわたる関係だった。2011年に先代社長が体調を崩し、両容疑者が中核となって経営を切り盛りするようになった。先代社長が2018年に亡くなり、息子に代替わりした後、2019年ごろに関根容疑者は取締役を外れたが、添田容疑者と引き続き入札業務を担っていたという。 添田容疑者の近親者は、塩田容疑者が経営する塩田工業で長年にわたり勤務するなど近い関係にあったとされる。添田容疑者の亡父は、県議時代の塩田容疑者の政治活動を熱心に応援していたという。
建設業関係者によると、添田容疑者は人付き合いが巧みで、信頼が厚かった。入札会場などに志賀建設の代表として顔を出すのは多くが添田容疑者だったという。 関根容疑者は熱心な仕事ぶりで「裏から会社を支えていた」「実質的な経営者」との評判だ。ただ、同業者との懇親には積極的ではなく、社内でも身の上話をするタイプではなかったという。 ■事業の行く末は 4月27日に移転オープンしたばかりの町歴史民俗資料館は、町内の資源を生かしたにぎわいづくりを目指した塩田容疑者の肝いりだった。整備中の認定こども園は12月に開園する予定だ。公民連携事業で注目を集める道の駅は、2026(令和8)年3月の開業に向け現在は設計段階にあり、9月の着工を予定している。 塩田容疑者の逮捕を受け、大型事業の行く末を懸念する声が上がっている。会社経営の60代男性は「多くの事業が頓挫する可能性がある。町内経済への影響は避けられない」とみる。道の駅整備を担当する町職員は「当面の方針が決まらないと正直、身動きが取れない」とこぼした。