チョットしたことがトンデモない事態に発展する映画5選!
何気ない悪戯が生んだ怖すぎる代償とは!?『ロードキラー』
購入したての中古車でハイウェイをひた走る若き兄弟が、退屈しのぎに無線機を使って長距離ドライバーと交信し、ほんの軽い気持ちで女性の声をマネて誘惑したのが運の尽き。ドライバーの怒りを買った彼らは、その後、どこへ行っても行動を見張られ、どこまでも執拗に追いかけられる、絶体絶命のトルネードのような状況へと陥っていく……とまあ、完全なるスピルバーグの出世作『激突!』のオマージュでありながら、持ち前のアイディアとフレッシュさが鮮烈に突き刺さる快作だ。 『激突!』の主人公が疲れた中年サラリーマンだったのに対し、本作でメインを張るのは、00年代初頭、ハリウッドで人気の若手実力派たち。ヴィヴィッドな感情と行動力、テンポの良い会話劇に加え、途中からはヒロインとの微妙な三角関係をも加味しながら、各々の人物像を濃密に際立たせる。当時、制作会社バッド・ロボット・プロダクションズを設立したばかりのJ.J.エイブラムスが製作、脚本で参加しており、単なる“クルマでの追いかけっこ”に縛られない、あの手この手でスリルが持続するまさに原題どおりの”Joy Ride”な展開に注目したい。
文=牛津厚信 text:Atsunobu Ushizu