車両で基地局を展開…警察&自衛隊と同時に被災地入りした「ライフライン関係者」の知られざる奮闘
震災からひと月が経過し、被災地は少しずつ復興に向けた歩みを進めている。地震発生直後に警察・消防・自衛隊等が被災者救出などのために被災地入りしたが、いち早く被災地入りしたのは彼らだけではない。電力・水道・ガスなどのインフラ関係者らもまた、時を同じくして続々と被災地入りした。 【画像】ひどい…!被災地の「ヤバすぎるトイレ事情」写真…! 筆者は1月9日夜に能登半島入りすることができた。街灯や集落など通電している場所が多かったが、能登半島に張り巡らされた電柱は多数が倒壊していたため、電力復旧のため全国から集結した電力会社職員らによる懸命の復旧作業により果たすことができたのである。道なき道に作業車を展開させて、がけ崩れが起こりそうな場所でも危険と隣り合わせで作業を行う現場も。懸命の作業が続き、北陸電力の発表によれば2月1日現在で4万戸停電していたところが2000戸弱にまで電力の復旧が進んだのである。 携帯電話の電波も輪島市や珠洲市など主要な街の避難所周辺は通じるが、街から離れると圏外の状態が多かった。しかし山間部なのに突然電波が通じる場所があり、比較的標高の高い場所に目をやると携帯各社の移動基地局が現地で展開していた。可搬式の発電機も併用して絶えず電波を供給しているのだ。このような車両は平時、コンサートなどの大規模イベントにも登場し、来場者らの通信環境改善のため活動している。その様子を目にしたことがある方も多いのではないだろうか。 1月6日には海上自衛隊のエアクッション艇「LCAC」にドコモの車両を乗せて被災地入りし、孤立集落などへの通信復旧を行っていた。KDDIやドコモは車両に加えて洋上からも船舶型基地局を展開させて通信環境確保に取り組んでいた。 一方、上下水道の復旧には長期間を要するという。これを受けて自衛隊の給水車などと共に、全国の市町村から給水車などが被災地入りし、連日住民らへの給水活動を続けている。水を入れた重いタンクやペットボトルなどを高齢者宅まで運ぶ自治体職員もおり、日に日に顔なじみになり雑談もできて気分転換になっているという被災者の方も。そして、ガス。能登半島には都市ガスが整備されておらず、プロパンガスが主流である。このため、全国のガス事業者から派遣された職員が戸建て・商店等を問わず各戸を訪問し、ガス漏れがないかなどを慎重に点検していた。 また、発災後しばらくガソリン不足に悩まされた現地だったが、1月10日頃よりタンクローリーも続々と現地入りし、スタンドによっては20リットルまでの給油制限や緊急車両のみとしていたところも制限なく通常の態勢で給油できるようになったのである。 一瞬にして日ごろ当たり前にできていたことを奪い去る自然災害。改めて災害を意識し生活を送らなければならないことを再認識させられる。 撮影・取材・文:有村拓真
FRIDAYデジタル