海外で注目の日本人Web3起業家に聞く「ミームコイン詐欺」に遭わないためのポイント
暗号資産関連で今最も注目を集めているカテゴリの1つが「ミームコイン」のトレードだ。フォーブスは先日、市場規模が1000億ドル(約15兆4000億円)とされる、この市場の現状に関するレポートを掲載したが、ミームコインの市場には、トレーダーを食い物する詐欺師が潜んでいることが知られている。 ここでは、デジタル資産を安全に管理するサービスを提供しているWebacy(ウェバシー)のCEOである五十川舞香に、ミームコインの取引で注意すべきポイントを聞いた。 ■「保有の集中」を警戒する 投資を検討しているミームコインの上位10のウォレットが総供給量の20%以上を保有している場合、コインの発行者が資金を持ち逃げするラグプルと呼ばれる詐欺に注意すべきだと五十川は述べている。この分野で有名な取引所のRaydiumでは、上場されたトークンが数時間で暴落するケースが多々あるが、最近ではPongというミームコインがその例に挙げられる。このコインは、11月初めに8万ドル(約1200万円)以上の時価総額でRaydiumに上場したが、取引開始直後に価値がゼロになった。 同様の保有者の集中に関する懸念は、いくつかの主要なトークンにも存在する。ソラナ上で展開される時価総額が11億ドル(約1710億円)のミームコインNeiroの場合、上位10のウォレットが発行済みトークンの約70%を保有している。 ■怪しいインフルエンサー さらに、ミームコイン市場には、対価を得てトークンの価値を煽る不正なインフルエンサーが数多く存在する。五十川によると、@CryptoGodJohnや@TheCryptoKazi、@crypto_TomTom、@cryptostasherといったX(旧ツイッター)のアカウントは、トークンの価値を吊り上げ、その高騰中にすべての保有分を売却して利益を得てきた歴史があるという。 ミームコインの製造工場とされるPump.fun上で発行されるコインは、最大発行量が約8億トークンに制限されている。一方、他のプラットフォームでは、発行者がトークンを無制限に発行できる仕組みが許されており、これが投資家の持ち分を希薄化させる可能性がある。この問題は、時価総額が120億ドル(約1兆8700億円)のTONのブロックチェーンで特に蔓延している。 ■発行元の「権限」 五十川は、ミームコインに投資する場合は、そのコインの開発者が「renouncing the contract(コントラクトの放棄)」と呼ばれる手続きを完了していることを確認すべきだと述べている。これは、発行者が新たなトークンを発行するための権限を放棄するための手続きだ。 また、トークンには他のスマートコントラクト関連のリスクも存在する。暗号資産セキュリティ会社GoPlusによると、Bananacat(BCAT)やTamadoge(TAMA)などのトークンは、保有者がトークンを売却できないようにロックする権限を、発行者が持っているという。 ミームコインのリスクから身を守る方法の一つは、WebacyやRugcheck、GoPlus、DEXSCREENERといった分析サイトの安全スクリーニングやリスク指標をチェックすることだ。五十川は、「ミームコイン市場は操作が容易で評価が難しい。詐欺師にとって楽園のような状況だ」と述べている。
Steven Ehrlich