老後に「仲間が離れていく人」の2つの特徴、会話で即バレする共通点とは?
些細なことでイライラしたり、空気が読めずにトンデモ発言をしたり、武勇伝を何度も繰り返したり。そうした言動で周囲に迷惑を掛ける中高年層は、たとえ過去に仕事で成功していても、若者たちから「老害」だと認定されてしまいます。ですが、もちろん本人たちは悪気があって老害っぽい言動をしているわけではありません。では、なぜ「やらかす」のでしょうか。医学博士・平松類氏の著書『「老害の人」にならないコツ』(アスコム)から抜粋して、その答えをお届けします。今回のテーマは「仲間が離れていく人」について。 【画像】若者に嫌われてませんか?一つでも該当したら要注意の「老害化チェックリスト(11項目)」 ● 相手をすぐに否定して自分の意見を押し通す「老害」 知人のIさんの住んでいるマンションには管理組合があり、そこでマンションに関するいろいろなことを決めるしくみになっているそうです。 自分たちでできることは自分たちでやろうという方針があり、マンションの入り口や通路などは、住民が手分けして掃除をしているといいます。 Iさんによると、この管理組合の役員のなかに、ものすごく押しの強い男性Jさんがいるとのこと。正確な年齢はわからず、推定75歳くらいの人といっていました。 先日のマンションの総会でのこと。ある管理組合の役員さんから「掃除が楽になるので高圧洗浄機を導入しませんか?」と提案がありました。それはいいと、Iさんも大賛成でした。 ところが、Jさんは頭から大反対。「今までどおりモップや雑巾での手作業で問題ない。大変でもそのほうが絶対にきれいになる」と強く主張し、その結果、高圧洗浄機を導入する提案は見送りとなってしまいました。 「他人の意見を頭から否定するので、正直なところ私はJさんのことが苦手です」 Iさんは首を横に振りながらこう言いました。ほかの役員さんも、表向きは笑顔で応対しているものの、内心は辟易(へきえき)しているようです。
● なぜ老害化が進むのか 年をとるほど浮き彫りになっていく問題点 Jさんの問題点は、他人の意見をすぐに否定するところにあります。 それが怒りっぽい口調であれば、ひょっとすると相手の言っていることをよく理解できていないかもしれません。 なぜなら、高齢者は自分の知らないことが話題になると、それがバレないように取り繕(つくろ)うことがあるからです(※1)。 そしてたいていの人は、わざわざ争うことを避けたいという思いがあるので、かなり強いトーンで「NO」を突きつけてくる相手の意見は、すんなり通してしまう側面があります。 Jさん本人は「自分は正しいことを言っているから意見が通った」と思っているかもしれませんが、ほかのみなさんの頭の中はまったく違います。表面的には笑顔を浮かべていたとしても、「面倒な人とかかわるのはごめん」というのが本音。Jさんの意見を受け入れたのではなく、ただたんにJさんを避けているだけでしょう。 最初のころは周りも渋々ながら付き合ってくれたとしても、それが続くとあっという間に限界がきます。 「あの人の言うことを聞くの、もう嫌になってきた」 「もうあの集まりには行かないようにしよう」 こんなふうに、周囲からどんどん人が遠ざかっていき、気づけば「仲間の壁」ができてしまいます。 これまでは優しく接してくれていた人が、自分の言うことにまったく耳を傾けてくれなくなるなど、さまざまな弊害が出てくるでしょう。 Jさんの問題点はもうひとつあります。それは、柔軟な思考ができず、狭い視野でしか考えられていないという点です。 Jさんは、高圧洗浄機という新しく便利な道具が出てきたことを受け入れられていません。だから、自分が昔からよく知っていて、安心で確実だと思っているモップや雑巾といった道具にこだわってしまうんですね。 確かに人は高齢になると、新しいものに対して「よくわからない」「昔から使っているものがいい」など、否定的な部分が出てくるものです。選択肢が増えると、かえって決定しづらくなるということもわかっています(※2)。 これも老害レベルを高めてしまうひとつの要因です。 もしかすると、高圧洗浄機という道具を知らないのかもしれません。でも、恥ずかしいから「知らない」とは絶対に言えない。その結果、高圧洗浄機を導入しようという提案を即座に却下したり、これまでどおりモップでの清掃で問題ないと主張したりすることになるわけです。 じつはJさんのようなこういった言動、誰にでも起きる可能性があります。高齢になると、無意識でいると新しい情報を入れることが億劫になるし、慣れ親しんだもののほうがいいと思ってしまうように、脳はできているからです。