パーマーがY・トゥーレの記録をブレイクする日は近い
ちょっとしたPK論争が起きている。
「オレが蹴る」 「いや、俺に蹴らせろ」
チェルシーのニコラ・ジャクソンとニコ・マドゥエケが、キッカーをめぐって激しくやりあった。シチュエーションは4‐0で迎えたエヴァートン戦(33節)の64分。勝負の趨勢が見えていたため、彼らは名乗りをあげたのだろう。
マンチェスター・ユナイテッド戦の後半追加タイムではコール・パーマーに託し、ジャクソンもマドゥエケもなんらアクションを起こしていない。自己主張はするが、責任を回避したがる若者の典型だ。
チャンピオンズリーグ準々決勝第二戦、レアル・マドリーGKアンドリー・ルニンは一歩も動かず、ベルナウド・シウバ(マンチェスター・シティ)のキックをイージーにキャッチした。
「弱虫」 「決断力が乏しすぎる」
B・シウバには少なからぬ批判が集中している。だが、あくまでも9・14メートル間の駆け引きであり、この日はルニンが上まわっただけだ。仮にB・シウバのキックが決まっていれば、「緊張した場面でクールすぎる」と絶賛されたに違いない。
さて、鋭い分析に定評のある『opta』によると、プレミアリーグのレジェンドにはPKの成功率100%を誇る名手が存在する。ダビド・シルバ、セルヒオ・アグエロとともにマンチェスター・シティ隆盛の礎を築いた、ヤヤ・トゥーレだ。 The Best Penalty Takers in the Premier League | The Analyst
右足のインサイドキックで丁寧にゴールの隅に蹴り分け、しかもポーカーフェイス。相手GKは読みにくかっただろう。11回蹴って、失敗は一度もない。
100%のY・トゥーレに劣るとはいえ、1980年代後半から約15年に渡り、サウサンプトンで大活躍したマシュー・ル・ティシェは26回中25回成功。成功率は96・15%にも及ぶ。
状況判断とパスセンスに秀でていた彼が、なぜイングランド代表に8回しか選ばれなかったのか。当時はテクニカルな選手が冷遇される悲しい時代だったからだ。もう20年ほど遅く生まれていれば、ル・ティシェのキャリアは変わっていた。