松たか子、『ロンバケ』が人生の分岐点に「自分自身の世界が広がった」 当時の心境やその後の変化を語る
「いろんな人の一言などに乗っかるか乗っからないかで人生は変わる」
女優の松たか子が主演を務めるTBSの新春スペシャルドラマ『スロウトレイン』が、2025年1月2日21時より放送される。脚本は先日最終回を迎えた日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』や大ヒットした映画『ラストマイル』の人気脚本家・野木亜紀子氏。野木作品に初出演した松が、本作の魅力と共に、自らの人生の分岐点となった作品について語ってくれた。 【写真】3姉弟を演じる松たか子・多部未華子・松坂桃李ほか(全6枚)
本作は、鎌倉に住む渋谷葉子(松たか子)、都子(多部未華子)、潮(松坂桃李)という全く性格の違う3姉弟が、 “人生”の岐路に遭遇し、それぞれに迷い、もがきながらも、真の幸せを模索していく物語で、鎌倉と韓国の釜山でロケを実施。様々な価値観が変貌していく時代において、家族のあり方を見つめ直す新時代のホームドラマとなっている。演出は、人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(16)、『カルテット』(17)、映画『花束みたいな恋をした』(21)などで知られる土井裕泰氏が務めた。 土井氏の演出したドラマ『カルテット』でも主演を務めた松は、今回のオファーを受けて心から喜んだと言う。 「TBSの連続ドラマで大変お世話になった土井さんの 卒業制作作品ということでお声をかけていただき、とてもうれしかったです。その後、脚本を読んで、すごく面白くて感動しました。同時に、自分の役が割りと地に足のついた人というか、しっかり生きている人なだと思ったので、そこに説得力を与えるのが難しいと感じたことを覚えています。特別に大きな事件や裏切り、大どんでん返しみたいなものがあるわけではないのですがとても感動し、こういうドラマに参加できること自体がとても幸せだなと思いました」 劇中では、3姉弟にとっての人生における分岐点が描かれるが、松の女優人生においてターニングポイントとなった作品について尋ねると、松は少し考えたあとで、民放の連続ドラマに初めてレギュラー出演したという木村拓哉と山口智子主演のドラマ『ロングバケーション』(96)を挙げた。 松が18歳の時に出演し、撮影中に19歳の誕生日を迎えたと言う。「そのお話をいただいた時、私自身は舞台に出ることを目標にこのお仕事をしてきていて、もう舞台に出るチャンスはいただいていたので、どうしようと思ったんです。それで、連続ドラマに出演することも1つのチャンスだよと言ってもらった中で、『じゃあ、やらせていただきます』と思って出たのが『ロングバケーション』でした」 そこでの出会いについて「皆さんのことを尊敬できたというか、これはすごいなと思うことが多かったです。あの経験ができたことで、その後、自分でも思ってもみなかったことが良いことも悪いことも含めていっぱい起きたし、結局はそれらって自分が選んだことだと思いながらやってきました。自分で選んだ以上は、覚悟を持ってやること。『これをやります。頑張ります』と言った決断には責任も伴いますし。『ロングバケーション』はそういうきっかけになった作品だと思います」と語る。 続けて松は「ちょうど大学に入った年でしたが、そこから忙しくなってしまい、その結果、大学を辞めることになりましたが、その選択をしたのも自分だなと思います」と述懐。その後、主演の木村とは『ラブジェネレーション』(97)でも共演することとなる。 『ロングバケーション』について松は「あの時、あのドラマに出ていなかったら、また違うお芝居の道があったのかもしれないけど、あのドラマがあったおかげで、自分自身の世界が広がったというか、ほぐれた部分もあるので、分岐点というか、分れ道だったなとも思います。それらは自分の考えだけで決まるもんじゃないし、いろんな人の一言などに乗っかるか乗っからないかで、人生は変わるなとも思っています」と語り、「本当にチャンスをいただけた方のおかげだなと」と心から感謝している。 その後、多数の映像作品に出演してきた松。今回、本作で松が演じた渋谷葉子役は、野木氏が松に当て書きして作り出した登場人物である。 「読み合わせをした時、野木さんに初めてお会いして、『当て書きですから』と言われました。ということは、そのままやればいいってこと? と思いつつ、何か重なるところを探っていきました。葉子さんは、兄弟や周りの職場仲間から見れば、いろいろ背負っていて大変ね! という女性ですが、そんなことは100も承知の上で、今日をどう生きようかと考えていく人。迷路の壁にあちこちぶち当たりながら、今日なり明日なりを生きようとする人なので、そこはすごく共感できました。そんな彼女にも、話を聞いてくれる人がいて、そういうところは素敵だなと思いました」