車いすテニスの革命児、小田凱人が自身初の4大大会2連覇 パリ・パラリンピックの金メダルが見えた
【パリ8日=吉松忠弘】パリ・パラリンピックでの金メダルが見えた! 世界ランキング2位の小田凱人(ときと、東海理化)が、自身初の4大大会2連覇を達成した。同3位で2019年優勝のグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)に7-5、6-3で勝ち、4大大会通算4勝目を挙げた。全仏はパリ・パラリンピックと同会場で、自身初めてのパラリンピック出場での金メダルに大きく前進した。 フェルナンデスのショットがラインを割った瞬間、小田は両手を突き上げ、喜びを全身で表した。突き上げた勢いで、車いすが赤土の上でわだちを描き、黄色のウエアとともに、小田がくるくると回った。「タフな戦いだった。今は本当にうれしい。また、パリ・パラリンピックで戻ってきます」。 豪打のフェルナンデスを相手に、ミスを恐れず、ベースラインの内側に入った。早めの展開で、相手の時間を奪った。バウンドした球の上がりっぱなをたたくため、タイミングが難しくミスも出る。しかし、その手を緩めることはなかった。 第1セット、5-2でセットポイントを3本握った。しかし、それを逃すと5オールに追いつかれた。第11ゲームで、相手がサービスゲームをキープできるポイントが2本あった。しかし、ブレイクポイント3本目で奪い、そのまま7-5で突き放した。第2セットも押し切った。 髪はデザインパーマで、サングラスをかけ、オレンジや黄色のパーカーを羽織り、目立ちに目立つ。それも、車いすテニスのエンターテインメントだと胸を張る。この日の決勝でも、相手のロブをバウンドさせたとき、横に1回転してからスマッシュした。「大道芸のようなプレーがしたい」。 常に見せるではなく、魅せるプレーや行動を気にかける。もちろん、強さを追求するのは当然のことで、それ以上の付加価値をつけてこそプロだという自負がある。 パリは、昨年、4大大会で初めて優勝した思い出の地。自分の名前の由来となった凱旋門もあり「特別な場所」。その街に対し、試合前、レストランで、1つのパフォーマンスを思いついた。トレーナーにテーピング用のテープをもらい、そこにあるフランス語を書いた。優勝直後、そのテープを思い切り観客に見せた。「ジュテーム・パリ!(愛してます、パリ)」。そのパリに、革命児がパラリンピックで戻ってくる。
報知新聞社