青い海に鋭く突き出たケープポイント、ビーチの先は航海史の舞台「喜望峰」
成田から香港経由でヨハネスブルグ、O.R.タンボ国際空港に着いた。国内線のケープタウン行きに乗り継ぐ合間、ふと空港内のトイレに入った。海外では珍しくピカピカに清掃されたトイレに少し驚いた。「ようこそ、私の美しいオフィスへ」とモップがけをしていた若い黒人男性が手を止め、海外からの旅行者に笑顔を振り撒いていた。 最近、日本からの観光客数を伸ばしている。長かったアパルトヘイト(人種隔離政策)の歴史を克服し、さらに貧困格差、治安の問題を克服すべく動き出した南アフリカ。政府も今、観光産業に力を注いでいる。 雄大な自然、そこに生きる野生動物を目当てに、“一生に一度は訪れたい”と言う旅行者も多い。多くの民族と言語、文化から成り立ってきたことから“虹の国”と呼ばれている南アフリカ共和国を旅した。
天気が良いが、強い海風が吹き抜けていく。せっかくなので灯台が立つ展望台を歩いて目指すことにした。20分程で頂上にたどり着いた。眼下には青い海に鋭く突き出たケープポイント、右手には鮮やかなエメラルドグリーンのディアスビーチの先に喜望峰が見えた。 1497年にバスコ・ダ・ガマがインド航路を発見したことを機にポルトガルに希望を与えるという意味で名付けられた喜望峰。大西洋とインド洋が重なるこの岬は1488年にバーソロミュー・ディアスによって発見されたが、当時非常に荒れる海域だったため、以前は「嵐の岬」と呼ばれていたそうだ。 喜望峰という名前と航路発見の歴史に深く関わることから、アフリカ大陸の最南端という認識が強かったが、実は最南端ではなく最南西端にあたる。(つづく) (2017年11月撮影・文:倉谷清文) ※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<大自然と人 “虹の国”南アフリカへ>倉谷清文第9回」の一部を抜粋しました。