俳優・金子ノブアキ「マッチングアプリの発展には興味がある」オンラインでの出会いの是非を考える
実力派俳優としてNHK大河ドラマ『麒麟がくる』、Netflixシリーズ『今際の国のアリスseason1.2』など数々の映像作品に出演する傍ら、バンド・RIZEのドラマーとしてミュージシャンの顔も持つ金子ノブアキさん。瞬時に放たれるエネルギーは、演技でも音楽でも人の心を掴んで離さない。出演する最新映画『マッチング』は、アプリから始まった出会いの恐怖を描く新感覚サスペンス・スリラー。マッチングアプリの運営会社プログラマー役を好演した金子さんに、今作での役づくりや内田監督への思い、アプリでの出会いに対する考え方をインタビューした。 大人の色気…実力派俳優とミュージシャンの顔を持つ金子ノブアキ【写真を見る】
オリジナル作品は監督の内側そのものだと思う
――今回金子さんが演じる影山は、物語のキーパーソンに見えました。最初に台本を読んだ感想を教えてください。 率直に、難解な脚本だと感じました。ただ、作品全体が“難解”という言葉では片付けられないようなストーリーだなとも。なので、最初に台本を読んで不安を感じた部分は、監督に質問を繰り返して、徹底的に自分の中に落とし込むようにしました。 ――「セリフを落とし込むためにかなり長めの対話をした」と内田監督も仰っていました。 物語の中で起こる様々な出来事が何に起因しているのか、そのあたりは演じる上でしっかり理解しないといけない部分でもあったので、なるべく多くの対話を重ねました。内田監督とご一緒するのは初めてだったのですが、過去の作品を拝見していたので、今作は待望の機会でした。出てくるキャラクターが監督の持ち味そのものというか、監督にしかない特色というか。人の苦しみみたいな部分を強烈に描く方だと僕は思っているので、役を理解するためにもたくさん話し合う必要がありましたね。 ただ、「このケースの犯人は結局誰なのか」といった重要な部分を含めて、監督がわざと明らかにしないまま終わらせている部分もいくつかあるんです。
――金子さんも知らないんですか? そうなんですよ。そこは何度対話を重ねても、いまだに教えてくれなくて。でも、そのように曖昧にして作品に余白をつくることで、観る人の想像力は掻き立てられますよね。いろんなパターンが当てはまるように作られている。あとは考察要素もたくさん散りばめられているので、観る人が楽しめる作品になっていると思います。 ――具体的にはどんな余白でしょうか? 本当はもっとロマンスのシーンがあったんです。でもそれが削ぎ落とされて、シンプルな部分だけ残すというのは、観る人に委ねる意図的な演出ですね。 監督の中には、きっとすごく生々しい感情もあると思うんです。ブラジル出身の方で、そのルーツから考え方や宗教観、死生観とか、コアな部分をどっかに置いてきているような気がする。過去をよく知っているわけではないですが、今作は脚本も手がけているので、少なからず自己投影している部分もあるはず。オリジナル作品は監督の内側そのものと言っても過言ではないですから。僕が演じた影山に関しては、そのコアな部分が見え隠れする大事なキャラクターだと感じました。