『鬼滅の刃』柱稽古編はオリジナル要素に期待 前作から1年経つ制作ペースは遅いのか?
『鬼滅の刃』柱稽古編が2024年春にフジテレビ系で放送されることが発表された。「柱稽古編」は、鬼舞辻無惨との最終決戦に備えた鬼殺隊の強化にスポットを当てたストーリーだ。柱による直接指導を受けながら、隊員たちが戦闘能力を高める様子が描かれる一方で、柱たちは「痣」の発現を目指して修行を重ねる。また、第1話は1時間スペシャルとして放送されることが決まっている。 【写真】「遊郭編」で壮大な戦いぶりをみせた音柱・宇髄天元 さらに、「柱稽古編」ではこれまであまり活躍の場がなかった柱たちのパーソナリティも深く掘り下げていく。本編では「遊郭編」の宇髄や「刀鍛冶の里編」の時透・甘露寺など、少しずつ柱の魅力が描かれ始めてはいるものの、まだ全ての柱が紹介されているわけではない。そんなまだ謎多き柱たちからの指導を受けて、炭治郎が成長する過程も見どころの一つ。最近は、柱や鬼たちの悲しい過去が明らかになる展開が多かった『鬼滅の刃』だが、「柱稽古編」は無限城編に入る前のキャラクター紹介的なエピソードとして、シリーズの中で一息つけるような作品になりそうだ。 注目すべきは鬼殺隊最強の剣士、岩柱・悲鳴嶼行冥による修行だろう。普段は口下手でおとなしい悲鳴嶼だが、彼は圧倒的な実力を持つキャラクターだ。数珠を持って合掌し、念仏を唱える姿からは想像もつかないパワフルな修行が繰り広げられる。次第に明らかになっていく、悲鳴嶼の“鬼殺隊になった経緯”からも目が離せない。また、「柱稽古編」はコミックスでは単行本の第15巻から第16巻に収録されているエピソードだが、1クール12話で描くにしてはエピソードが少なく感じられるかもしれない。ここから、アニメオリジナルの要素がどう入ってくるのかも気になるところだ。 原作に沿って物語が進むと仮定すると、「柱稽古編」は、今後待ち受ける鬼舞辻無惨との厳しい戦いを描く「無限城編」への足がかりとなる物語である。つまりこの章は、「無限城編」に向けての炭治郎と仲間たちのラストスパートを描く位置付けになるのだろう。各話で描かれる柱たちが心に秘める「大切なもの」を理解することが、「無限城編」をより深く楽しむための鍵となるはずだ。 一方で今回の「柱稽古編」の放送発表に当たって、『鬼滅の刃』の前回のシリーズから間隔が空きすぎていることを指摘する声も。2019年に社会現象を巻き起こしたテレビアニメ第1期の放送以降、劇場版を含む4シーズンが放送された本作は、前回2023年春に放送された「刀鍛冶の里編」から「柱稽古編」まで1年の間隔が空いている。1話30分のアニメの制作にかかる期間は、だいたい1カ月ほどと言われており、つまり1クール12話であれば約1年はかかる。この1年間の期間が遅いと感じるか、早いと感じるかは、各視聴者のアニメ制作にかかる時間への理解によって異なるかもしれない。 ちなみに過去のインタビューでは、『鬼滅の刃』第1話の制作に1年以上を要したことが明らかにされている。一般的なアニメ制作のペースと比較して必ずしも遅いわけではないが、熱心なアニメファン以外の視聴者にとっては「時間がかかりすぎている」と感じることもあるに違いない。とはいえ、『鬼滅の刃』は世界的に注目される人気作である以上、時に通常のアニメ制作にかかる時間以上の作業量が必要になることは十分にあり得る。 この先の「無限城編」に関しては、劇場公開となることも予想されるが、こちらもワールドワイドな魅力を携えた作品として、ハイクオリティな『鬼滅の刃』の完成を気長に待ちたい。 2024年2月2日より開催される舞台挨拶「ワールドツアー上映『鬼滅の刃』絆の奇跡、そして柱稽古へ」にて、今回は「刀鍛冶の里編」第十一話と「柱稽古編」第一話の上映が実施されるため、一刻も早く観たいファンはこちらも要チェックだ。国内はライブビューイングを含めて427カ所、世界140の国と地域で上映される予定となっており、アニメ放送に先駆けて柱たちの稽古の様子を伺える。 鬼舞辻無惨との戦いの直前を描く「柱稽古編」。最強の鬼たちとの戦いを前にした静かな緊張の中で、炭治郎たちはどのように成長していくのか。柱たちが伝授する“究極の鬼退治”の技術を最高のアニメーション技術で観られる日が、楽しみでならない。
すなくじら