初の連敗で首位と勝ち点差6、「J最強の戦力」町田・黒田監督が語った「夏の補強」と「チーム状況」【Jリーグ、ACL、W杯予選「サッカー秋の陣」最大の敵】(2)
スポーツ競技で勝つためには、心身の充実が必要だ。フィジカル、メンタルともに相手を上回ってこそ、勝利を手にできる。もしも、どちらかが欠けていたなら、諸刃の剣となって自分に襲いかかってくることもある。そうした厳しい現実を突きつけられた「サッカー秋の陣」について、サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。 ■【映像】黒田監督が「チーム・コンセプトが徹底されていない」と本音ポロリ「町田vs川崎」の激闘
■徹底した守備を特徴とする町田が「大苦戦」
FC町田ゼルビアは、徹底した守備を特徴としたチームだ。リトリート(相手にボールを奪われた場合、すぐに自陣に戻って、守備ブロックを形成して守ること)した守備とハイプレスを使い分け、高い位置でボールを奪ってショートカウンターを仕掛ける。そして、勝つためには何でもする。 一方の川崎フロンターレは、ボール・ポゼッションにこだわるチームだ。ショートパスを使って、ボールを握り続けることによって相手陣内にスペースを作り、そのスペースに選手たちが次々と入り込んで攻撃を続ける。 だが、町田戦では川崎がオールコートでプレッシャーをかけ続け、町田のパスを分断した。 川崎が押し込んだ展開の中、町田はサイドバックの杉岡大暉からのボールを藤本一輝が追って、落としたボールをベテランの中島裕希が叩き込んで13分に先制した。見事なカウンターだった。そして、その後、しばらく町田がボールを握る時間ができたが、20分を過ぎると再び川崎が流れをつかみ、川崎の勢いは試合終了まで続いた。
■ポゼッション型の川崎に対する敗戦の「意味」
28分には左サイドでマルシーニョにボールが渡った瞬間にSBの三浦颯太がボックス内に走り込んで、マルシーニョからのボールをそのまま決めて同点とする。さらに、38分には町田のGK谷晃生のミスキックを脇坂泰斗がワンタッチで山田新にパス。受けた山田がボックス外からループシュートを決めて川崎がリードした。 後半に入っても、48分に走り込んだエリソンがGKの谷に倒されて得たPKをエリソンが自分で決めて3対0とし、さらに71分にも三浦からの縦パスに合わせた山本悠樹のクロスにマルシーニョが合わせて4対1とした。 相手のミス絡みの得点もあったが、これも川崎のハイプレスがもたらしたもの。 町田としては、自分たちのストロングポイントであるハイプレスを、逆に川崎にやられてしまったもので、結果も内容も完敗というゲームだった。 町田にとって、ポゼッション型の川崎に対する敗戦は、カウンタープレス型の広島に敗れた試合とは異なった意味を持つように感じた。 こうして、黒田剛監督就任後、初めての連敗を喫した町田は、首位の広島との勝点差が6に開いてしまった。自慢の守備が攻略される試合も増えてきているのも心配だ。 そんなチーム状況について、試合後の記者会見で黒田監督が質問に答えて語った。 「夏の移籍で選手が補強されたが、ケガ人も出てメンバーが変わってきたこともあって、チーム・コンセプトが徹底されていない」と言うのだ。 黒田監督のコメントには計算づくでなされるものが多い。そんな中で、この発言は、もちろんぼやきのような物ではなかったが、かなり本音が出ているように感じた。
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