荻原博子さん怒告発 電力8社は過去最高益なのに電気料金なぜ年3万円も上がる?
「補助金が導入された当初の、1kWhあたり7円の補助が続いていたとしたら、ここから月に2千450円が引かれていた計算になります。補助金が廃止されたことで、年間約3万円もの負担増となってしまったのです」(加谷さん) ■“福一”の廃炉費用や賠償費用も利用者負担 今後、電気料金が下がる可能性はないのだろうか。 「基本的に電気代は原油価格に連動して上下します。しかし原油価格が電気代に反映されるには6カ月ほどのタイムラグが発生します。仮に7月に原油価格が下落しても、電気代の値下げは2025年1月以降となるんです」(加谷さん) 前出の荻原さんはこう懸念する。 「今年の夏は酷暑が予想されます。このままでは、生活費に困って猛暑日でもエアコンをつけず、熱中症になる人が続出する恐れがあります。政府が、少しでも国民の生活を想像していれば、補助金をやめるのは、せめて涼しくなる秋口からにしたでしょう」 原油価格の高騰による電気料金の値上げや、厳しい財政状況を理由とした補助金の廃止を仕方ないと考える人もいるだろう。しかし、荻原さんは「電気料金の中に原発の廃炉費や事故の賠償費も組み込まれている」と指摘し、こう続ける。 「実質的に、福島第一原発の廃炉費用になっている『廃炉円滑化負担金』と、同原発事故の賠償金となっている『賠償負担金』が2020年度から、電気料金に上乗せされています(沖縄など一部地域を除く)。本来、東電をはじめ、原発を推進してきた電力業界で負担すべきなのに、電気料金に転嫁されているんです」(荻原さん) また、別項目の負担も増えた。 「『再生可能エネルギー発電促進賦課金』です。電力会社は太陽光や風力などの再生エネルギーを事業者から買い取っているんですが、その買い取り資金を、なぜか私たちが電気料金の一部として負担させられているんです。 しかも、これまで1kWhあたり1.40円だったのが、今年の4月の使用分から3.49円へと、2.5倍も値上げされました。庶民にこうした負担を強いながら、電力会社が軒並み過去最高益というのに違和感を覚えます」(荻原さん) ■「断熱」と「節約」で料金高騰を乗り切る 電気代高騰に対して、私たちができる対策はあるのだろうか。加谷さんは「断熱」をすすめる。 「日本の家屋は欧米や中韓に比べて断熱性が脆弱です。窓の多くはアルミサッシですが、アルミは熱伝導率が高い素材。二重窓の設置工事をするだけで、大幅に電気代は抑えられると思います」 加谷さん自身、7年前、自宅マンションのリビング側と外廊下側の窓を断熱性の高い二重窓にする工事を実施。「電気代がトータルで2割ほど減った」という。