あの「残念なヒーロー」がまさかの一日駅長に 清掃活動や啓発が評価 「ふざけて言ったら願いがかなった」
テレビ局で生まれたにも関わらず、地上波に出られない異色のヒーロー、バカチンガーが20日、JR博多駅の一日駅長に就任した。その境遇と見た目のインパクト、そしてキャラの癖の強さが一部で有名になっているバカチンガーは、「愛する福岡を少しでも良くしたい」という強い気持ちを持って活動中。その志が「大役」への任命につながった。(永松幸治) ■次のページ バカチンガーが清掃活動中に拾ったものは…【写真】 まさかの大抜擢だ。FBS福岡放送のSDGs推進プロジェクトの一環として誕生したバカチンガーが、九州の玄関口であるJR博多駅の一日駅長に任命された。この日、同駅の鐘ケ江理恵駅長から専用の帽子とタスキを渡されると、普段の硬い表情を崩し、「まさかですよ。任命されるとは思わなかったですよ。以前、ふざけて駅長に『一日駅長にして』と言ったら、本当にかなったね」と、おどけてみせた。一日駅長任命式に集まったバカチンガーのファンからは「おめでとう」「これからも頑張れよ」という声援があったほか、「JRさん、本当によかと?」という激辛エールも送られていた。 バカチンガーは2022年にデビュー予定だったが、直前で上層部からのストップがあり地上波NGに。それでもSNSなどで福岡愛を語ったり、含蓄のある言葉を発したりするなど地道な活動を継続。少しずつファンを増やしていった。 バカチンガーを一日駅長に任命した鐘ケ江駅長もその一人。連携をオファーし、今年1月から月に1回、「HAKATA幸せの運拾い運動」と題した清掃活動イベントをともに行っている。鐘ケ江駅長は、その際のバカチンガーのひたむきな姿勢に心を打たれ、今回任命を決めたという。決して、バカチンガーからふざけてお願いされたから、渋々任命したわけではない。 バカチンガーは、一日駅長に就任したこの日も、50人近いボランティアと一緒に、駅周辺を清掃。気温10度に加え、強風が吹くあいにくの天気もなんのその。自慢の長髪を後ろに縛って、気合を入れると、歩道にへばりつたガムをへらで削り落とすなどの清掃を1時間行った。また、「ガムを捨てるのは数秒でも、それを掃除するのは何十倍も時間がかかるんだ。バカチンガー!」と愛する街を少しでも美しくすべく、啓発していた。 清掃後、清々しい表情を見せたバカチンガーは「ごみ拾いと思うときついけど、運を拾ったと思うと気持ちいいし、楽しい。参加してくれた人はきっといいことがあるよ」と満足げな様子だった。 清掃イベントは、今後も月1回程度で継続していく予定だという。
西日本新聞社