<中尾隆聖>「アンパンマン」インタビュー(1) ばいきんまん演じて36年 ただの悪役ではない魅力
「やなせ先生は『アンパンマンがいるからばいきんまんがいて、ばいきんまんがいるからアンパンマンがいる』とおっしゃっていましたが、陰と陽のように、お互いになくてはならない存在なんです。パンの中にも菌がいて、それがなくなれば成り立ちません。でも、悪役ではあるんです。悪役だけど、どこか憎めないし哀愁があるばいきんまんでありたいとずっと思っています。子供たちはアンパンマンが好きだけど、『バイバイキ~ン』『ハヒフヘホ~~!』とまねしてくれますよね。それがうれしいんですよ」
◇演技に変化も
“名優”である中尾さんだからこそ、どこか憎めないばいきんまんを表現できるのだろう。
「低年齢の子供が見ている番組ですし、どんな悪い言葉を使っても毛嫌いされないようにすることに一番気を付けています。嫌われてもいいのですが……と難しいところなんです。先生は『ばいきんまんは僕がやりたかったんだよ』とおっしゃっていて、そのことがずっと心に残っていますし、やっぱり大切にしなくてはいけません。ただの悪役ではないことは意識しています」
約36年にわたって演じ続ける中で変化もあった。
「最初の頃の声を聞くと、随分違いますよね。もっと声を潰していました。段々慣れてきて自分に近くなっているかもしれません。最初は喉を酷使していました。コロッと変わったわけではなく、少しずつ変わっていたんですね」
インタビュー(2)に続く