亀梨和也のゾクゾクするような色気に興奮!漫画家、大友しゅうまが『怪物の木こり』を描き下ろし漫画と共にレビュー
2019年に第17回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した小説を実写映画化した『怪物の木こり』(12月1日公開)で、亀梨和也が狂気のサイコパス役にトライ。亀梨自身のオーラとキャラクターの特性が見事にマッチし、抗いがたい魅力と危険な色気を放つサイコパスがスクリーンにお目見えする。SNSなどで映画紹介漫画を発信している漫画家の大友しゅうまも、「サイコパスである主人公のことが、どんどん好きになってしまった」と大いに魅了された一人。映画を観ている間、高揚感に包まれながら至福のひと時を過ごしたという大友による本作の感想を、描き下ろしの漫画と共にご紹介する。 【写真を見る】『怪物の木こり』の感想漫画を大友しゅうまが描き下ろし! 絵本「怪物の木こり」に登場する怪物の仮面を被り、人間の脳を奪い去る連続猟奇殺人事件が発生。次のターゲットとして狙われたのは弁護士の二宮彰(亀梨)。しかし彼は、目的のためには殺人すらいとわないという、犯人をも凌駕するサイコパスだった。二宮は、怪物との対決に挑みながら驚愕の真相にたどり着く。監督は、バイオレンスの巨匠とも呼ばれる三池崇史が務めた。 ■「たくさんの謎が解き明かされていく過程に、ものすごく幸せを感じました」 サイコパスと連続殺人鬼の壮絶バトルを描きながら、追う者と追われる者がどんどん入れ替わっていくなど、意表を突く展開が連続する本作。シーンごとに興奮や驚きを与えてくれる内容となっているが、大友は「おもしろかったです!僕はスリラーやサスペンス映画が好きなので、ドンピシャに好きな映画だなと思いました」と鑑賞後の率直な感想を吐露。 「怪物の正体は誰なんだろう、二宮の隠された過去とは一体どのようなものなんだろう…など、映画の前半にいろいろな謎がちりばめられていて。どんどん物語に引き込まれていきながら、その間ずっと『幸せだな』と感じていました。僕はいい映画を観ている時によくそう感じるのですが、なぜ本作を観て『幸せだ』と感じたんだろうと考えてみると、118分という上映時間のなかで、劇中に出てくるたくさんの謎がすべて解明され、観客である僕にあらゆる真実を明かしてくれることが、ものすごく心地よかったんだなと。とても見応えがありました。ちなみに僕は、犯人の予想を外しました(笑)」と驚愕のラストにたどり着くまで、少しずつ真実へと近づいていく幸せを噛み締めていたという。 亀梨演じるサイコパス弁護士、二宮の魅力にも惚れ込んだと話す。「二宮は顔が整っていて、ケンカも強く、頭も切れる。そして常に冷静沈着。非の打ちどころがなくて、すべてが完璧。僕たちが思い描く“理想のサイコパス”というか、映画や小説などで『サイコパスってこういう人物だったらカッコいいよな』と思うものをギュッと詰め込んだような主人公像」と惚れ惚れ。 さらに、そのサイコパス役に亀梨がピタリとハマっていたと続ける。大友は「亀梨さん演じる二宮は、まずビジュアルがめちゃくちゃ美しいですよね」と目尻を下げつつ、「怪物との戦闘シーンでのキレもすばらしかった。カッコいいなと思いながら観ていました」とバトルシーンはもちろん、防犯カメラにボールを命中させて破壊したり、高所から飛び降りたりと、亀梨の身体能力を実感できる場面にも舌を巻いたという。 ■「二宮の笑顔がどんどん変化していく。亀梨さんのお芝居がすごい!」 鑑賞するまでは、「実はちょっとナメていたんですよね…」と正直に打ち明けた大友。しかし、映画冒頭から猛スピードで迫り来る車の前に仁王立ちしたり、血しぶきの飛び散る殺人を犯す二宮を見て、「冒頭から力強いバイオレンス描写があって、驚きました。あれはインパクトがありましたね。亀梨さん演じる二宮がこちらにも一発食らわしてくれたようで『ここまでやるんだ!』という驚きがありました」と三池節が冴えわたる描写にもシビれた様子で、「被害者が脳を奪われて殺される…という見せ方も、予想以上に恐ろしかった」と震えるような瞬間もあったと話す。 本作の見どころは、バイオレンスやサスペンス性だけではない。ある出来事をきっかけにサイコパスである二宮に新たな感情が芽生え、しだいに変貌していく様子。二宮というサイコパスがどのようにして生まれたのかを明らかにしていくなかで浮き彫りとなるヒューマンドラマとしての側面も、大きな注目ポイントとなる。大友は「サイコパスが変化していく様子を演じきった、亀梨さんのお芝居がすばらしかった」としみじみ。 「二宮がサイコパスとして誰かと会話をしている時は、目が座っているようでしたよね。恋人を前にした時だったり、世間体をよく見せたい時に浮かべる笑顔も、どこか目が笑っていないような表情でした。でも、ある出来事をきっかけに、彼の笑顔がどんどん変化していく。僕はドラマ『野ブタ。をプロデュース』を観ていた世代ですが、本作を観て『亀梨さんってこういう演技ができる方なんだ』と新鮮に感じました」と繊細な芝居に挑んだ亀梨を称え、「二宮は次第に、サイコパスとして犯した罪と、内に芽生えた新たな感情との狭間で葛藤していきますが、とあるシーンで涙を流していたのが特に印象的です。完璧だと思っていたキャラクターが、葛藤や苦悩を抱き始めて、恋人の前で初めて弱さを見せることになるシーンですが、そこでまた二宮の新しい魅力がバーッと出てきて『コイツのことどんどん好きになっちゃうよ』と感じちゃいました」と吸引力のある主人公だと語る。 続けて大友は、「僕は『DEATH NOTE』の夜神月を思いだしたところもあって」と持論を展開。「完璧だと思っていた主人公が、追い詰められていくなかで次第に涙や戸惑いも見せて、その完璧さが崩れていく。カッコいいサイコパスと、崩れていくサイコパスを見られる映画としても、とてもおもしろいと思いました」と太鼓判を押していた。 ■「亀梨さんのサイコパスぶりが、とにかくセクシーでカッコいい」 二宮だけでなく、本作には二宮をマークする警視庁の天才プロファイラーの戸城嵐子(菜々緒)、二宮の本性を知らずに優しく寄り添う婚約者である荷見映美(吉岡里帆)、二宮の協力者であるサイコパス医師の杉谷九朗(染谷将太)など、全員が“サイコパス気質”を持っているとも言える個性豊かなキャラクターが顔を揃え、ドラマチックなストーリーを盛り上げている。 「菜々緒さん演じる戸城は、カッコよかったですね。肩幅より広めに足を開いた立ち姿、伊達メガネにボサボサの頭と、いつも見ている菜々緒さんのイメージとはまったく違う役柄を演じていました。吉岡さん演じる映美は、とてもおきれい。頭のよさも感じさせるキャラクターでした」と切りだした大友は、なかでも二宮と杉谷の“サイコパスコンビ”がお気に入りなのだとか。 「独特の友情といった感じで、あの2人の関係性はものすごくおもしろかったです。サイコパス同士で、お互いの特殊さを理解し合って、助け合っていたのに、ある出来事をきっかけにその関係性が揺れ動いていく。染谷さんの演じる杉谷は、お芝居がうまいこともあって、とても怖かったですね。二宮と杉谷が真っ白な部屋で一人の男性を縛り付けて殺そうとするシーンは、『アメリカン・サイコ』のようでもあってゾクゾクしました」。 本作を鑑賞した日には「彼女に『映画、どうだった?』と聞かれて、僕は『亀梨くんがエッチだった』と答えた」そうで、「亀梨さんのサイコパスぶりが、とにかくセクシーでカッコいい。エッチだな…と感じるほどでした」と楽しそうにニッコリ。「映画やドラマに登場するサイコパスって、なぜか興味を惹かれてしまう存在ですが、亀梨さんがもともと持っている色気との相乗効果もあって、さらに魅力的なキャラクターになっていたように思います」と分析しつつ、「題材はバイオレンスでありつつ、女性にも刺さる映画だと思います。謎が解けていく爽快感も味わえるので、観ていてとても気持ちがいいですし、二宮が最終的に出したアンサーには優しさすら感じました」と本作のあらゆる側面を堪能していた。 取材・文/成田おり枝