US版『GQ』の「Men of the Year 2023」パーティーに潜入!──キム・カーダシアン、トラヴィス・スコット、ジェイコブ・エロルディらが集う
「今夜はキム・カーダシアンに会えるんじゃないかと期待しています」。ジェイコブ・エロルディは、煙草をくわえながらそう言った。彼はちょうどシャトー・マーモント・ホテルのバルコニーに足を踏み入れたところだった。ハリウッドの街の灯が目の前に広がるのを見ながら、『Priscilla』(原題)でエルヴィス・プレスリーを演じる彼は今にも腰を振り出しそうに興奮した様子だった。2023年、US版『GQ』の「Men of the Year(MOTY)」号で表紙を飾ったエロルディにとって、晴れ舞台となる夜だった。 【写真つきの記事を読む】キム・カーダシアン、トラヴィス・スコット、ジェイコブ・エロルディらが集った「GQ Men of the Year」パーティーの模様をチェック! その夜、彼が最も楽しみにしていたのが、トラヴィス・スコットとともにUS版「MOTY」号の3種ある表紙の1つにフィーチャーされたカーダシアンに会うことだった。「どの表紙も素晴らしかったです。でも、いちばん好きなのはキムの表紙でした。彼女のルックは最高でしたからね」。そう話した彼の期待はすぐに報いられることになった。パーティーに先駆け、『GQ』グローバル・エディトリアル・ディレクターのウィル・ウェルチと共同ホストのエロルディ、カーダシアン、スコット、そしてトム・フォードがディナーをともにした際、エロルディとカーダシアンはペントハウスの長いテーブルで隣同士となったのである。 ■1996年に始まったGQ MEN OF THE YEAR 『GQ』で最初の「MOTY」号が刊行されたのは1996年のことだった。俳優やミュージシャン、起業家、映画監督、デザイナー、スポーツ選手など、ジャンルを問わずその年最も重要かつ魅力的だった人物を取り上げ、我々のカルチャーへの貢献を表彰してきた。タイトルこそ「Men of the Year」だが、1つのジェンダーにこだわったものではない。また毎年、「MOTY」号にフィーチャーされたセレブリティを招いての盛大なパーティーがロサンゼルスで開かれてきた。今年のパーティーはグレンフィディック、ステートファーム保険、Spotify、Google Pixelがスポンサーに名を連ねた。 出席した面々は錚々たるものだった。ペントハウスで行われたディナー前のカクテルの時間には、多くの出席者がA24の映画『Past Lives』(原題)で初監督を務めたセリーヌ・ソンにお祝いの言葉をかけようと列をなした。「とても光栄です」と、ソンは作品を絶賛してくれたオリヴィア・ロドリゴに答えた。「セリーヌは初めての映画を作ったばかりにもかかわらず、パーティーの主役となりました」と、ミュージシャンで俳優のジェイソン・イズベルは話した。「彼女はとにかく素晴らしい。(シンガーソングライター)タウンズ・ヴァン・ザントのように、作家として完成した状態でデビューを飾ったのですからね」。 近くでは「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」のジョナサン・アンダーソンが、ソンの夫で小説家のジャスティン・クリツケスと談笑していた。JW アンダーソン創業者でロエベのクリエイティブ・ディレクターを兼任するアンダーソンは、ルカ・グァダニーノ監督の新作『Challengers』と『Queer』(ともに原題)で衣装デザインを担当している。その両方の映画で脚本を書いたのがクリツケスだった。2つのプロジェクトで、ふたりは「お互いに助け合った」とアンダーソンは言う。「私たちのどちらにとっても、これが最初の映画でしたから!」と、クリツケスは説明した。ストライキを経て、ハリウッドが活気を取り戻しているのが感じられた瞬間だった。 テーブルにディナーが運ばれると、ウィル・ウェルチが立ち上がってトム・フォードに乾杯を捧げた。今年のUS版「MOTY」号に際して、フォードのキャリアを総括した引退インタビューを執筆したのがウェルチだった。「トム・フォードについては私も雑誌の中で多くを語ったし、彼も多くを答えてくれました」。そう話すウェルチは、フォードの類い希なるラグジュアリー&ビューティの世界を余すところなく伝えたかったと説明した。「一つ、記事の中で触れることができなかったのは、金をセクシーに魅せるトムのユニークな能力です。金そのものは退屈なものなのにもかかわらず」 「そうでもないけどね!」と叫んだのは、キム・カーダシアンだった。 そんな彼女の起業家精神を讃えるため次に立ち上がったのは、元プロバスケットボール選手のドウェイン・ウェイドだった。「国際的な元アスリートとして、成功に求められる苦労については私もよく知っている。(カーダシアンのブランド)SKIMSの成功は君の根性を示すものであり、君が『Man of the Year』の称号に相応しいことを証明するものだ」と、ウェイドはカーダシアンに語りかけ、次のように続けた。「君の仕事に対する姿勢に、我々全員が敬服している。それに、君の才覚がビジネスのあり方を塗り替えていることも」。彼女の向かいに座っていた母親のクリス・ジェンナーもその言葉に頷いていた。「自分の目標に向かって生きている君に感謝を捧げたい」と言い、ウェイドは笑顔のカーダシアンにグラスを掲げた。 「ドウェイン・ウェイドの後でスピーチか。頑張れよ!」。『Saltburn』(原題)で共演した友人のアーチー・マデクウィが自身のために挨拶に立ったとき、そう言って笑ったのはエロルディだった。「こいつは確かにおしゃれだ。小さいボッテガ・ヴェネタのバッグを持っているところを写真で見たことがあるかもしれないが、誰にでもこなせることじゃない」と言い、マデクウィは笑った。「でも、君はそれだけじゃない。素晴らしい俳優、そしてそれ以上に素晴らしい人間である君におめでとう。その両方であることは難しいことだ」 ディナーを終えたとき、カーダシアンは自身がフォードと何を熱心に話していたかを明かしてくれた。「彼が話してくれたのは、マリリン・モンローが自分のブラの乳首があるべきところに出っ張りを編み付けていたという話でした。いつでも完璧に見えるようにね。彼は私がSKIMSで手がけた“ニップル ブラ”を思い出したと言うんですが、私は知らなかったんですよ! 素晴らしい話が聞けました」 ■Tylaとトラヴィス・スコットが新曲を発表 その夜は、エロルディとマデクウィにとって『Saltburn』の一般公開前夜だったが、作品のリリースを間近に控えていたゲストはそれだけではなかった。ホテルに隣接するバー・マーモントの外に延びるレッドカーペットに人々が到着するなか、アンドレ・3000は2006年以来初となるアルバムが数時間後にリリースされることについて心境を話してくれた。「わくわくしていますが、不安もあります。新しいことを試しましたからね」。木管楽器を中心に制作された最新アルバム『ニュー・ブルー・サン』について、彼はそう言った。 「彼の気持ちはよくわかります」。そう話すのは、ポップ界の新星Tylaだ。それもそのはず、彼女もまたトラヴィス・スコットを迎えリミックスした自身のヒット曲「ウォーター」の新バージョンをその晩リリースする予定だったのだ。そこに通りかかったスコットはちょうど娘とFaceTime中で、それがカーダシアンとジェンナーの興味を引いたようだった。「トラヴィスのことをお祝いできるのがとてもうれしいです。それに私たちの曲もあと1時間で公開されるし! 楽しみすぎて、秘密にしておくのが大変でした。でもその日がついに来たんです」 ■錚々たる面々が出席 バー・マーモントの階下では「MOTY」のパーティーが賑わいを見せていた。ノー バカンシー インで知られるトレマイン・エモリーとアサイドが、2022年6月以来初めてのDJセットを披露した。ブースの後ろに立ったエモリーがMCで場を盛り上げるなか、『メディア王 ~華麗なる一族~』のブライアン・コックスがレザージャケットとサングラスを纏い、同じくレザージャケットとサングラス姿のリオン・ブリッジズと並んでいた。 バーの横では、スーパーモデルのアルトン・メイソンとエヴァン・モックがカメラに向かって手首に煌めくジュエリーを見せつけた。そこでは、誰もがパーティーを楽しんでいた。オリヴィア・ロドリゴとコナン・グレイも例外ではない。「私たち最近『マッドメン』を観直していて、さっき(出演者の)ジョン・ハムを見かけたところなんです! あれには興奮しました」と、グレイは話した。また、喫煙スペースにいたパリス・ヒルトンとデュア・リパのツーショットには、これでもかというほどのフラッシュが焚かれた。 デル・ウォーター・ギャップのアーティスト名で知られるホールデン・ジャフィは、俳優のマット・ボマーを探していた。作曲家レナード・バーンスタインの伝記映画『Maestro』(原題)で、ボマーはジャフィの実の祖父であるデヴィッド・オッペンハイムを演じているのだ。その後、彼らはレッドカーペットで出会うことができたようだった。 メーガン・ザ・スタリオンの到着はパーティーに興奮の渦を巻き起こした。テニス選手フランシス・ティアフォーの言葉が、その夜を端的に表していた。「誰も彼もがこの場にいます」。自身のスーツを仕立てたオフホワイトのクリエイティブ・ディレクター、イブ・カマラと挨拶を交わした後、彼はそのように話した。 比較的静かな隅っこのほうでは、セリーヌ・ソンがUS版『GQ』の「MOTY」号をジョナサン・アンダーソンや『Past Lives』の出演者グレタ・リーとユ・テオと一緒にめくっていた。 ■その夜、最もスタイリッシュだったのは その夜の装いとして、明らかにポピュラーだったのがレザーだ。ウェルチはファレルのルイ・ヴィトンによるカスタム・レザースーツを、歌手のギヴィオンはプラダのボンバージャケットを身に纏い、モデルのウィニー・ハーロウはパテントレザーのファシネーターを頭に載せていた。しかし、ベストドレッサーに選ばれるのは1人だけ。「MOTY」の新たな伝統として、今年で3度目となる「GQ ビッグ・フィット・オブ・ザ・ナイト」賞がグレンフィディックによって贈呈されるのだ。レッドカーペットに漂う競争心は、かつてないほど激しいものだった。長きにわたる熟慮の末、選ばれたのはアルトン・メイソンだった。バレンシアガのとびきりクールなレザーアンサンブルを着こなした彼に、ジュエラーのグレッグ・ユナが手がけたカスタムメイドの公式メダルが贈られた。その結果に「フェアじゃない!」と主張したのは、フィア オブ ゴッドのデザイナーであるジェリー・ロレンゾだった。「何を着ても素敵に見せるのはアルトンの仕事じゃないか!」 ダンスフロアに誰も彼も呼び寄せ、満員だった喫煙スペースを無人にすることができたのはただ1人、その夜のヘッドライナーだったトラヴィス・スコットだけだった。午前0時頃、DJのチェイス・Bの後ろに立った彼とTylaは、発表されたばかりの「ウォーター」リミックスバージョンをライブで初披露した。オーディエンスがみるみる膨れ上がっていくと、スコットはその上に飛び込んだ。全ての歌詞を歌いきったTylaと彼は、その瞬間に身を任せたのだ。外ではエアウォン・マーケットのリカバリードリンクが手渡されていたが、フロアの熱気はそのままだった。彼らの新曲は公式に世に放たれ、誰もがそれに合わせて身体を動かしていた。 From GQ.COM By Samuel Hine Photography by Krista Schlueter Translated and Adapted by Yuzuru Todayama
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