井上尚弥が世界戦23勝目、井岡一翔抜き日本選手トップ 12月の次戦でさらなる進化追求
ボクシングのダブル世界戦が3日、東京・有明アリーナで行われ、世界スーパーバンタム級主要4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が元同級世界王者のTJ・ドヘニー(アイルランド)を7回16秒TKOで下し、4団体の王座を防衛した。世界戦通算23勝目で井岡一翔(志成)を抜き、日本選手歴代単独1位となった。井上尚は28戦全勝(25KO)、ドヘニーは26勝(20KO)5敗。 【別カット】6R、ドヘニーを攻める井上尚弥 日本選手歴代単独1位となる井上尚の世界戦23勝目は、あっけない幕切れとなった。7回が始まってすぐにドヘニーが腰を痛めるようなしぐさを示し、レフェリーが試合を止めた。ドヘニー陣営によると、6回には異変が出ていたという。「結果的にこうなってしまったのは仕方がない。内容的には全然悪くなかった」。井上尚は少し浮かない表情で、見ている側からはやや消化不良の試合を振り返った。 5月に東京ドームで元世界王者のルイス・ネリ(メキシコ)にTKO勝ちした前戦では、1回にプロ初のダウンを喫する場面があった。その反省から、今回のテーマは「しっかり丁寧に闘うこと」。守りを固める相手を深追いせず、中盤から本格的に攻勢に転じようとした矢先のTKO勝ちだった。37歳のドヘニー相手ということで、王者の圧倒的優位とみる声が多い中でも、相手を決して過小評価しない姿勢はいつも通り。井上尚は「正直、出来が悪いとは思っていない」と強調し、父の真吾トレーナーも「丁寧にしっかり闘ってくれて満足」と話した。 一方、スーパーバンタム級の1階級上のフェザー級への将来的な挑戦を視野に、試したことも。前日計量の体重55・3キロから、当日は過去最重量の62・7キロまで上げ、どんな動きになるかを見極めた。自身の印象は「若干重たいかな」。次戦は12月に日本で開催予定で、「モンスター」は今回の経験を踏まえ、さらなる進化を追い求めていく。(奥村信哉)