米電動キックボード大手「Lime」が日本上陸とともに三井住友海上と協業して普及推進へ
世界最大手の強みを生かしたローカライズド戦略
2024年9月6日、Lime株式会社は三井住友海上火災保険株式会社と安全な電動マイクロモビリティの普及に向けた協業を発表した。Lime利用時の損害保険の提供に加えて、三井住友海上のネットワークを活かした普及促進や、安全講習会の定期開催に取り組むという。 【写真】Limeの電動キックボードをもっと見る Limeはアメリカの電動モビリティシェアサービス会社で、2017年に自転車のシェアリングサービス「LimeBike」としてスタートし、翌2018年には電動アシスト自転車と電動キックボードのシェアリングサービスを開始。現在では全世界でユーザー数7500万人、車両台数20万台を誇る世界最大の電動モビリティシェアリングサービスに成長した。 Limeの強みは、利用者などの意見に応えるために車体やシステム等を自社で開発し、進化し続けている点にあり、総乗車回数6億回、計10億km分の利用データに基づいて改良を重ねた結果、現在運用されている電動キックボードは6年目にしてすでに第4世代となる「Gen4」にアップデートされている。 「Gen4」は、立ち乗りの「電動キックボード」と、この電動キックボードの車体に着座シートと収納バスケットが追加装備された「電動シートボード」の2種類をラインナップし、乗り心地の良いエアタイヤ、ハンドルバーが手前に湾曲した「Swaybar」設計、故障を見越して再利用可能なモジュール化部品を採用するなど、安全性・整備性が高められているのが特長だ。 ちなみに日本導入モデルは16歳以上が免許不要で乗ることができる「特定小型原付」の保安基準に適合するように専用設計された「Gen4.1シリーズ」で、ハンドルバーの長さが特定小型原付の全幅規定(60cm以内)に収まるように短くされているほか、歩道モード(最高速度6km/h)や最高速度表示灯が追加されるなど日本専用設計となっており、国土交通省の保安基準審査制度である性能等確認制度をクリアしている。 なお、海外で展開されている電動アシスト自転車については、車両が欧米仕様であるため日本人の体格だと大きく、重くなってしまうことから同時投入は見送られ、今後日本向けに改良された新モデルが提供される。 2024年8月19日のサービス開始から数週間のデータによると、ユーザーのおよそ7割が「電動シートボード」を、約3割が「電動キックボード」を利用しており、「電動キックボード」利用者の走行距離が平均2~3kmに対して「電動シートボード」の利用者は最長19km利用したユーザーがいるなど、乗車距離が長い傾向にあるという。 「電動シートボード」は、電動キックボードモデルにシートとバスケットを外付けしており、ハンドル高/シート高が固定式となっている。ハンドルが立ち乗りのキックボードと同じ高さ(=座り乗りには高い)であるため、固定式のシート高と合わせ、身長が低い方にとってはやや使いづらいかもしれない。 利用料金は、基本料金100円+30円/分の通常プランと、LimePassと呼ばれる時間内定額プランの2系統ある。LimePassは一定の期間に複数回利用する場合などは割安になるほか、通常プランにもスマホアプリを通じて乗車中にヘルメットを着用している写真を送ると、利用料金が10%割引される「ヘルメットセルフィ」というシステムがある。特定小型原付はヘルメット着用が努力義務だが、着用率向上に向けた取り組みとして注目されるだろう。