『アメリ』も! パリを舞台にしたフランス映画の傑作4選
ジュリエット・ビノシュやヴァネッサ・パラディ、イザベル・ユペールらフランスの大御所たちは皆、パリを舞台とした作品に出演してきた。なぜパリは、これほど多くの監督や出演者を魅了し、繰り返し描かれてきたのだろうか。その魅力を探るべく、名作ラインナップをまとめてご紹介。 【写真】ドヌーヴ、バーキン…伝説のフレンチアイコンが出演した必見映画29選 photo AFLO, Getty Images text KURIKO SATO
【1990年代】ジュリエット・ビノシュ(1964年-)
『ポンヌフの恋人』 1991年 異色の愛を描いたカラックス×ビノシュの傑作 レオス・カラックス監督とジュリエット・ビノシュの代表作にして、ふたりの関係に訣別をもたらすことになった本作はまた、セーヌ川とポンヌフを世界的に有名にした。
ポンヌフに住みつく主人公を演じるために、ビノシュと相手役のドゥニ・ラヴァンは、実際に外で生活することも経験したという。革命記念日の花火が上がるなか、ビノシュが水上スキーでセーヌを疾走するシーンや、雪の降るポンヌフでふたりが再会するシーンなど、忘れられない名場面にあふれる。
【1990年代】マギー・チャン(1964年-)
『イルマ・ヴェップ』 1996年 香港スターが妖艶に輝いた奇才監督の意欲作 オリヴィエ・アサイヤス監督が、憧れのマギー・チャンを主役に据えた本作は、サイレント映画時代の人気キャラクター、イルマ・ヴェップをリメイクしようとする映画クルーの物語という、メタ構造。キャットウーマンのようなボンデージ・スーツに身を包み、「ヴァンパイア」と恐れられる怪盗ヴェップを、チャンが可憐に演じる。パリの街を屋根から見晴らすその姿は怪しく魅惑的で、アサイヤス監督のフェティシズムが透けて見える。
【1990年代】ヴァネッサ・パラディ(1972年-)
『橋の上の娘』 1999年 奔放な小悪魔ぶりを発揮したヴァネッサの存在感 パトリス・ルコント監督による艶やかなモノクロの映像が、ヴァネッサ・パラディのコケティッシュな魅力を存分に引き出す。冒頭、セーヌに架かる橋の上から身を投げようとしている女は、通りがかった曲芸師の男(ダニエル・オートゥイユ)に拾われ、彼のナイフ投げの的を演じることに。曲芸を通して惹かれ合うふたりの関係が官能的だ。パリの場面は少ないにもかかわらず、その美しさで強烈な印象を残す。橋=出会いが、なんともロマンチックでパリらしい。