滑走路延長求める意見書可決 与党「特定利用」指定も視野 賛成多数、野党は反対 石垣市議会
石垣市議会(我喜屋隆次議長)は17日の6月定例会最終本会議で「新石垣空港の滑走路延長・エプロン拡張等機能強化を求める意見書」を与党、中立の賛成多数で可決した。意見書では、機能強化により大型機材の就航や観光入域客の増加などのメリットを見込めると指摘。野党は「環境問題を加味していない」(宮良操氏)などとして反対に回った。 新石垣空港の滑走路は2000㍍で、市議会は開港5年後の2018年3月に500㍍延長、同年10月、昨年12月に800㍍延長の要請決議を可決。空港管理者の県に決議文を提出したが、実現には至っていない。 提案者の長山家康氏は「今後、国際線が再開されれば、観光入域客数はコロナ禍前の状況を上回ることが確実視されている。経済のためにも空港の機能強化は喫緊の課題だが、県から国に対し滑走路延長の要請が出されていないことに大きな失望を禁じ得ない」と指摘。 意見書では、中国による台湾への武力攻撃事態の可能性が高まりつつあるとして、「住民の島外避難が必要な場合に、離発着能力は重要になる」と強調。一日も早い整備を求めた。 野党の砥板芳行氏は、質疑で「県空港課に問い合わせたところ、航空会社の要望を受けて滑走路延長に向けた調査に入るとの回答を受けた。調査を待たなければならない部分がある」と疑問視。 意見書は、政府が有事の際に自衛隊、海保が円滑に空港を利用できるよう整備する「特定利用空港」指定を求めているように読めると指摘した。 長山氏は「住民の安全、安心に資する機能強化が図られるのであれば、指定も進めるべき」と反論した。 野党の長浜信夫氏は「経済、観光と特定利用空港指定は分けて考えなければならない」と反対討論。与党の友寄永三氏は「県は(市が要請した)数年前から調査すると言い続けている。意見書を出すことで、本当に調査をしてもらうことにつながる」などとして賛成した。 採決では、与党、中立の13人が賛成し、野党8人が反対した。意見書の宛て先は県知事。