ストーカー警告は取り消し訴訟の対象外なのか 「冤罪」の反論できず 大阪高裁が判断へ
26日の高裁判決で処分性が認められ、確定した場合、訴訟は奈良地裁に差し戻され、ストーカー行為の有無を巡る審理が行われる見込み。
■「自由の制約と安全のバランスを」
桶川ストーカー殺人事件を契機に平成12年に施行されたストーカー規制法。一方的な好意が殺人などの重大事件に発展する事態を防ぐため、警察は対策を強化している。
警察のストーカー対策は、口頭注意・指導▽警告▽禁止命令▽摘発-の順で厳しくなる。注意や警告は警察のみの判断で行えるが、行政処分である禁止命令には加害者側の言い分を聞く手続きが設けられる。
警察庁によると、令和5年は警告が1534件、禁止命令が1963件、同法違反での摘発件数が1081件。平成29年施行の改正法で警告を経ずに禁止命令を出せるようになり、近年は禁止命令が急増している。
甲南大の園田寿(ひさし)名誉教授(刑法)によると、刑事処分に満たない警告や禁止命令は、警察にとって「使いやすく、使うのが無難」な制度。ただ人間関係や感情を客観的に把握するのは難しい一方、手続きには迅速性が求められるため、「過剰な対応になり、加害者側が納得できないケースも起こり得る」と指摘、「自由の制約と安全のバランスは常に考え議論すべきだ」と強調する。(西山瑞穂)