開会式の司会に呉三津田高2年・赤瀬さん 球児、少しでもサポート /広島
<センバツ高校野球> ◇NHK杯高校放送コンでV 3月23日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)の開会式の司会に呉三津田高2年の赤瀬智咲さん(17)が選ばれた。同校の放送部部長を務める赤瀬さんは「甲子園での司会は目標の一つだったので、うれしい。主役である球児を少しでもサポートできるような司会をしたい」と憧れの舞台への思いを語った。【寺岡俊】 幼少期は関西で過ごし、プロ野球はオリックスファンだが、甲子園にもなじみがあった。高校から放送部に入り、「NHK杯全国高校放送コンテストで優勝してセンバツで司会をしてみたい」と目標を持つようになった。 コンテストを約2週間後に控えた昨年7月、西日本豪雨が県内を襲った。呉市内の自宅でも断水が続き、お風呂や水を求めて3時間待つこともあった。被害が甚大だった同市天応地区や坂町から通う同級生もおり、「何もできない自分が、すごくつらかった」と振り返る。 豪雨の影響でJR線は一部不通となっていたが、教員らのサポートでコンテストに出場できることに。ただ、「こんな大変な状況で出場していいのだろうか」と後ろめたい気持ちもあった。悩んでいた時、天応地区で被災した友人から「気にしないで。応援しているよ」とのメッセージをもらった。「つらい状況でも応援してくれる人がいる」と前を向くことができ、朗読部門で優勝を果たした。 同時期に予定されていた高校野球県大会の開会式では入場行進のアナウンスを担当する予定だったが、豪雨の影響で延期となり、規模が縮小されたため参加がかなわなかった。司会を務めるはずだった他校の3年生の先輩から「悔しくて涙が止まらない。来年も頑張って。私の分もよろしく」とメッセージが来た。「3年生にとっては最後の夏。気持ちが分かり、涙があふれた」という。 本番まで1カ月を切った。「想像するだけですごく緊張して、怖い」と不安を口にしつつ、「友人や先輩、家族、先生…。支えてくれた人たちと一緒に読むという気持ちで臨みたい」と意気込んだ。