新垣結衣「新しい出会いや経験をちゃんと楽しめるようになりたい」【新垣結衣さんロングインタビュー】
「新しい出会いや経験をちゃんと楽しめるようになりたい」
11月10日に全国公開された話題の映画『正欲』。朝井リョウによるベストセラー小説を原作にした意欲作であり、劇中ではとある性的指向を持ち、そのことによって生きづらさを抱える難しい役どころを演じている。人生の目標は、意外にも(?)楽しむこと。「楽しいが上回る瞬間を増やしていきたい」と語るこの人にインタビュー。 【写真】新垣結衣さんの限定インタビューをもっと見る!
――本作で新垣さんは、他人に知られたくない性的指向を持つ夏月を演じました。チャレンジングな役柄だったと思いますが、どういった経緯でこの役を引き受けることにしたのですか? 新垣 最初にお話をいただいたとき、まだ原作は読んでいなくて、企画書とプロットを拝見しただけだったのですが、その時点ですごく引かれるものがありました。脚本ができていない状態だったので、できあがるのを待っている間に原作を読ませていただいて、「これはもう映画化するにはとても大変な作品だな」と思ったんですね。原作がある場合はたいていそうですけど、長い物語を2時間ちょっとにまとめあげなくてはいけないので、どこをピックアップするのか、どこを浮き彫りにするのか、その捉え方がとても重要になってきます。なので、監督をはじめ、スタッフの皆さんがこの作品をどういうふうに描いていきたいのかといったところをちゃんと理解して、お互いに認識を共有したうえで、「ぜひよろしくお願いします」という感じでお引き受けしました。 ――撮影を終えて、自分の中で何かつかめたなと思えたことはあったりしますか? 新垣 この作品にかぎらずどれもそうだと思うんですけれども、役を演じるということは本当に想像の世界であって、これが正解みたいなこともありません。特に今回私が演じた夏月は、繊細で複雑な役柄だったので、どういうふうに表現するかを監督と話し合いながら一つ一つ見つけていくような作業でした。撮影中は常に夏月のことを想像する日々でしたし、こうやって無事に完成して作品自体はとてもすばらしいものになったと思います。何かをつかめたかどうかはわかりませんが、確実に思うのは、夏月のような思いをしている人はどこかに絶対いるということです。