豊洲市場問題百条委 浜渦元副知事発言どこが「偽証」とされるポイント?
豊洲市場(東京都江東区)の移転問題を検証する都議会百条委員会が、喚問した浜渦武生元副知事を「偽証」と認定するか調査を進めています。一方、浜渦氏はきょう10日午後2時から都庁で記者会見を開き、百条委の発言について説明、偽証認定の動きに反論するとみられます。浜渦氏の証言のどこが「偽証」と、みられるのでしょうか。 【中継予定】百条委で「偽証」の疑い 浜渦元副知事が午後2時から反論会見
浜渦氏は2001年7月基本合意以降、交渉には「一切触っていない」と主張
百条委の焦点となったのは主に2点です。まず1点は「土壌汚染がわかっていた豊洲市場になぜ移転が決まったのか」。そして、もう1点が、2011(平成23)年の売買契約時に東京ガスの土壌汚染対策費78億円を上限とする「瑕疵(かし)担保責任の放棄がなぜ盛り込まれたのか」、それぞれの決定までの過程を明らかにできるかということでした。 中でも、こうした土壌汚染対策費用について都と東京ガスの負担合意の経緯を知っているキーマンではないかと注目されたのが、当時副知事(2000~2005年まで)だった浜渦氏です。浜渦氏は東京ガスとの交渉の責任者を務めていました、 しかし、浜渦氏は3月19日の百条委で2001(同13)年7月の東京ガスと移転に関する基本合意を締結した後は、「そこから先は一切触っていない」と説明。「(東京ガスには)土地はきれいにしてくださいと頼んだ」、交渉は知事本局に任せたとし、東京ガスに追加の土壌汚染対策を求めない「瑕疵担保責任」の免除が盛り込まれるきっかけとなった確認書について「知らなかった」、部下が「勝手なことをしてくれた」と関与を否定しました。 また、共産党都議がその後も浜渦氏が交渉にかかわっていた証拠として2003(同15)年5月に幹部らが、浜渦氏の指示に対する土壌汚染の交渉の報告などのために作成したとみられる浜渦氏宛ての文書を直接見せて確認を迫りましたが、「(受け取った)記憶にありません」「指示をした記憶はありません」を繰り返しました。
「浜渦さんに上げないのは大変なこと」2003年以降も最高責任者と元部下が証言
しかし4月4日の喚問で、元知事本局長の前川燿男(あきお)氏が、基本合意締結以降も「最高責任者は浜渦氏で、一貫して市場を所管していた」、「浜渦さんに(報告を)上げないのは大変なこと」と述べ、浜渦氏の主張を否定。浜渦氏は市場行政の事実上の「最高決定権者」で、瑕疵担保責任の免除につながったとみられる汚染土壌処理をめぐる2005(同17)年の交渉の節目に関しても、担当部課長に確認し、「手紙を出した、と聞いていた」と発言しました。 こうした交渉経過で残されている資料や前川氏の発言との食い違いから、百条委は2001年7月の基本合意以降携わっていないという浜渦氏の証言について「偽証」認定するか、検討しています。豊洲移転問題をめぐる百条委の真相究明に対し、都民からは思ったような“成果”が得られていないという批判もあることから、7月に都議選を控え、浜渦氏の「偽証」という結果で幕引きをするのではという憶測も出ています。 地方自治法では百条委で虚偽の陳述をした場合、議会が偽証罪で告発すると規定。浜渦氏は2005年、予算特別委員会の答弁で「やらせ質問」を行った疑惑について百条委員会で偽証認定されましたが、同7月、浜渦氏が副知事を辞職し、告発は見送られました。12年ぶりの百条委で再び、偽証に問われる可能性が出てきた浜渦氏が記者会見でどのように説明するか、発言内容が注目されます。