大東大が山で本領発揮 5区菊地駿介と6区佐竹勇樹の好走で2015年以来のトップ10/箱根駅伝
◇第100回箱根駅伝(東京・大手町←→神奈川・箱根町/10区間217.1km) 山上りの5区・菊地駿介(4年)、山下りの6区・佐竹勇樹(4年)でいずれも区間4位の快走。大東大は「山の大東」復活を強く印象づけるレースで、大東大は総合「10位で9年ぶりのシード権を獲得した。 第100回箱根駅伝総合、往路、復路成績&区間賞をチェック! 5区の菊地は力強い走りで上り切り、前回のタイムを1分以上上回る1時間11分41秒と、大学最高記録を更新。小田原中継所では14位で飛び出したが焦りはなかったという。先行する法大、東海大などに追いつき、計6人を抜き去ってチームを8位に押し上げた。 「集団で来てくれたのが良かったです。きつかったけれど、仙台育英高(宮城)時代の同期だった東海大の喜早(駿介=4年)や、法大の細迫君(海気=4年)らと競い合いながら走ることができました。『山の大東』復活を印象づけることができてうれしい」と菊地は笑顔で話した。 仙台育英高出身の菊地にとって、真名子圭監督は高校、大学を通しての恩師になる。真名子監督は「菊地のことは高校の時から見ていますが、今日は本当に頼もしい姿で走ってくれました」と教え子の勇姿に目を細めた。 10位が見える位置で折り返すというのが当初、描いていたプランだった。「往路8位は正直、うれしい誤算でした」と真名子監督は言う。2区では久保田徹(4年)が粘り強い走りで13位から順位を2つ押し上げていた。指揮官はは出走前の佐竹に「4年生の久保田、菊地がしっかり走ってくれた。お前は4年生の3本柱の1人だ。しっかり走って卒業しよう」と声をかけて送り出したという。 6区は最多タイの16校による復路一斉スタートとなった。佐竹は「人数が多いので転倒に気をつけながら、集団の前の方で走りを進めよう」と冷静に考えながらスタートし、序盤から集団を引っ張る。中盤からは法大・武田和馬(3年)らに離され、総合順位を1つ下げたが、前回の記録を1分上回る58分24秒で駆け下り、7区・小田恭平(3年)につないだ。 佐竹は「残り5kmぐらいからがきつかったけれど、ラスト2kmぐらいのところで監督が『お前が一番動いているぞ』と声をかけてくれたので、力みが取れて終盤もしっかり走れました。6区の大東大記録を敗れなかったことは悔しいけれど、先輩たちが築き上げてきた『山の大東』のイメージを、菊地と2人で印象づけることができて良かったです」と胸を張った。 12月に入ってから主力選手がインフルエンザに感染するなど、チームは万全の状態ではなかった。 しかし、1区は西川千青(3年)が転倒しながらも、シード圏内と19秒差の13位でタスキをつなぎ、5区、6区は好走。8区のピーター・ワンジル(3年)が調子を落として11位まで下がったが、9区・大谷章紘(3年)が区間9位、10区・佐々木真人(3年)が区間7位と、2人連続区間ひとケタ順位で盛り返し、10区で再度シード圏内に戻した。 佐々木は学生三大駅伝初めての出走ながら、見えない相手を懸命に追いかけて逆転に成功。第100回記念大会で結果を残し、就任2年目の真名子監督は、フィニッシュ直後の報告会で男泣きした。
小川誠志/月刊陸上競技