医療保険の保険金を受け取ると高額療養費は支給されない、は間違い? ~高額療養費に関する5つの誤解~
健康保険には、重い病気にかかったり、入院が長引いたりするなど医療費が高額になった場合、決められた上限額を超えた分の払い戻しを受けることができる高額療養費制度があります。医療費が気になる方にとってはとても助かりますが、一方で多くの誤解があります。 これから利用する人も、現在利用している方も、こんな誤解がないか本記事で確かめてみてください。
高額療養費制度とは
まずは高額療養費制度についてご存じない方のために、基本的なことをおさらいしておきましょう。 高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月の上限額を超えた場合に、その超えた額を戻してくれる制度です(※)。すなわち、医療費が高額になりすぎることを防いでくれる健康保険上の制度です。 自分がいくらまで負担するのかは、主に年収によって区分された「ひと月の上限額」によって決まります。ですから、自己負担額がいくらになるかは、人によってさまざまです。また、自己負担額を世帯で合算できる世帯合算という仕組みもあり、条件によっては家族が支払った医療費も合算した上で高額療養費が支給されます。 ひと月の上限額は、下図にある高額療養費の上限額算定表(以下、算定表)に基づいて計算されます。図表1は69歳以下の方向けの算定表ですが、年収によってア~オの区分に分かれ、ひと月ごとの上限額が決まっていることが分かります。 【図表1】
図表1を元に、具体例を用いてひと月の上限額を計算してみます。 例えば、かかった医療費が10割分で100万円、うち3割分の30万円を医療機関で支払ったとします。上限額と、支払った金額の何割が戻ってくるのか(戻り率%)を計算したのが図表2です。年収が高い人ほど、上限額が高くなる(=高額療養費支給額(戻ってくる額)が低くなる)ことが分かります。 【図表2】
それでは、次に高額療養費制度にまつわる5つの代表的な誤解を見てみましょう。