「高級時計店」で働いています。社員は1本購入するのが「暗黙のルール」といわれましたが「自爆営業」ではないですか?
ノルマがある企業で働いている場合は、毎月のノルマが達成できないこともあるでしょう。その場合は、自分のノルマ達成のために、自分で商品を購入しなければいけなかったり、部署のノルマ達成のために、上司から自社商品を身につけるようにと命じられたりすることがあります。 特に、時計のように自社商品が高額な場合は、支払いの見通しが立てづらく、購入をためらう方もいるでしょう。実際に高級時計の場合は、100万円以上する商品も多いことから、毎月の生活が困窮する可能性もあります。今回は、営業活動において、自社商品を買う義務や違法性について解説します。
強制の場合は労働基準法に違反する可能性がある
会社や上司から自社商品を購入するように強制された場合は、労働基準法に違反している可能性があります。労働基準法第16条には、下記のような記載があります。 (賠償予定の禁止) 第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。 この内容から、ノルマを達成できなかった場合に違約金を定めてはいけないことが分かります。そのため、自社商品を購入する義務は、労働者にはないといえるでしょう。なお、企業がこの法律に違反した場合は、労働基準法の第119条により、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が、企業に課せられます。
ノルマを達成するための商品購入は自爆営業
自分のノルマを達成するために自腹で商品を購入することを「自爆営業」といいます。実際に、営業活動において厳しいノルマが課され、ノルマを達成したかどうかで評価する企業では、ノルマを達成するために自分で商品を購入して、達成を目指すケースは多々あることでしょう。 企業がノルマを定めて営業活動を行う点に問題はありませんが、自爆営業を強制した場合は、法的な問題に発展します。労働者において、ノルマ達成は業務上の目標ではあるものの、自爆営業をしてまで達成するものではないという理解が必要です。 ■自爆営業が起こりやすい業界 営業活動はさまざまな業界で行われます。その中でも、特に下記の業界では、自爆営業が起こりやすいといわれています。 ・アパレル ・保険 ・郵便 ・自動車 いずれもノルマを定めている企業が多いことから、自爆営業につながりやすいといえるでしょう。しかし、自社商品やサービスを実際にユーザーとして扱うことで、課題や商品のよい点などに気づけるというメリットもあります。そのため、自腹購入のすべてが悪いとはいえないでしょう。