『世にも奇妙な物語』史上最恐のトラウマ回は? 究極の神回(1)胸糞悪すぎる…震えるほど恐ろしい結末は?
1990年に放送がスタートした『世にも奇妙な物語』。喜怒哀楽のいずれにも分類できない斬新なストーリー、心を掴む演出と演技によって、老若男女問わず愛されている。今回は、同番組の30年以上にわたる歴史の中から「神回」と名高いエピソードをセレクト。物語の内容と見どころを解説する。第1回。(文・編集部)
『おばあちゃん』(2001/主演・柊瑠美)
放送日:2001年10月4日 演出:落合正幸 脚本:落合正幸 出演:柊瑠美、深浦加奈子、樋渡真司、草村礼子、片平なぎさ 【作品内容】 美保は、両親とともに、危篤状態に陥った祖母のお見舞いにやってきた。美保は祖母とほとんど面識がなかったが、亡くなる前に一度面会しておこうという父親の計らいだ。 しかし、いつも優しいはずの母は、どういうわけか祖母には厳しく、行きの車内から不満を漏らしていた。そんな中、病室で祖母と2人になった美保は、彼女からとある提案を持ちかけられる。 【注目ポイント】 平安時代の『とりかへばや物語』を起点に、1000年以上にわたって書かれ続けてきた「入れ替わり物語」。テレビドラマ『民王』(2014~2015、テレビ朝日系)や映画『君の名は。』(2016)など、数々の名作に見られるこのテーマは、もはやSFの1ジャンルを成しているといっても過言ではない。 さて、『世にも奇妙な物語』には、「入れ替わり物語」史上最恐ともいえる物語がある。それが、2001年の秋の特別編で放送された『おばあちゃん』。主人公は、放送当時、映画『千と千尋の神隠し』(2001)の主演に抜擢され、一世を風靡していた柊瑠美だ。 物語は、主人公の美保が、危篤状態に陥ったおばあちゃんの病室を訪れるところからはじまる。全身医療器具につながれ、がりがりにやせ細ったおばあちゃんの姿に恐れおののく美保。そんな中、おばあちゃんは、美保に最後のお願いをする。それは、1日だけ、美保の身体を貸してほしい、というものだった。 翌日、美保の身体を借りたおばあちゃんは、童謡を歌いながらお手玉に興じたり、かつての想い人のもとへ会いに行って想いを伝えたりと、この世に残した未練を晴らしていく。 一方、その頃、おばあちゃんの身体に入っていた美保は、あまりの苦痛に発狂寸前となっていた。そして、最期が間近に迫ったその時、美保の身体のおばあちゃんが病室に戻ってくる。苦痛からようやく解放される、と安堵する美保。おばあちゃんは、美保にお礼を言い、天国へと旅立っていく―。 さて、ここまでであれば、「おばあちゃんの最期の願いをかなえてあげた少女」という心温まる物語で終わるところだろう。しかし、本当の恐怖からここから始まる。 おばあちゃんの死から30年後。40代を迎えた美保は、母親の葬儀に参列していた。そして、誰もいなくなった式場で、ハンカチを結び、童謡を歌いながらお手玉のように遊びはじめる。 そう、実は、あの時、入れ替わりは戻っておらず、おばあちゃんは美保の身体に残り続けていた。つまり本話は、「入れ替わり物語」ではなく「肉体乗っ取り物語」だったのだ。 そして、片平なぎさ演じる「30年後の美保」は、サスペンスの女王らしい気味の悪い笑いを浮かべながら、次のように独白する。 「この女にも苦しい思いをさせなきゃ。望まない延命装置、山奥の病室への隔離。全てあの女が私にしてきたことだ、不公平だろう? 私ばっかりじゃ…」 (文・編集部)
編集部