もうネタがない…!ニセコ最大の顧客「富裕層」から今、先進国にお金が流れつくワケ
今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション *『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。 『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第2回 『日本につくられた「外国人による外国人のための楽園」...華僑にも狙われた高級リゾート地ニセコの現状』より続く
金融緩和の副産物
コロナショックにより、日本だけでなく米国、欧州の政府と中央銀行により、史上最大規模の金融緩和策と財政出動策がとられている。コロナ禍から国民の生命はもちろんのこと、「雇用と事業と生活」を守るためにはあらゆる手段を尽くすとの意思表示である。 金融緩和とは、極めてシンプルにいってしまうと、「人工的にカネ余り状態を作り経済を浮揚させる」ことだ。このため、極論をいってしまえば、日米欧が大規模な金融緩和策を採っている限り、おカネはジャブジャブ状態にあり、国際金融市場は悪くなりようがないということだ。 各国の中央銀行から、おカネが際限なく供給されているわけであり、水の流れと同じように、おカネは必ずどこかに流れ着く。本来は銀行貸し出しなどを通じて設備投資や運転資金に回り、経済や雇用の活性化につながるのがベストではあるが、そこから余り溢れたおカネは、余剰資金として、株式市場や不動産市場に流れることになる。 金融緩和策とは、言い換えれば低金利政策であり、今はゼロ金利政策やマイナス金利政策が日米欧でとられている。このため、余剰資金を定期預金や国債など債券に預けても、雀の涙ほどの利息にしかならないどころか、マイナス金利の預金のように、逆に金利を払ったり、手数料を払ったりする必要がある場合もあるほどだ。だから、少しでも高い利回りを求めて世界中のおカネが動くことになる。