エリオット、三井不株にはまだ40%の上値余地あると判断-関係者
(ブルームバーグ): アクティビスト(物言う投資家)として知られる米ヘッジファンド運営会社エリオット・マネジメントは、三井不動産が打ち出した長期経営計画を高く評価しており、同社株にはまだ40%以上の上値余地があるとみている。未公開情報のため、匿名を条件に事情に詳しい関係者が明らかにした。
三井不は11日、株主資本利益率(ROE)を2026年度までに8.5%、30年度前後に10%以上に引き上げることなどを含む経営計画を発表。実現に向けて2兆円程度の資産売却や政策保有株の半減を目指す方針を示した。これを受けて12日の東京株式市場で、同社の株価は7.8%高と3年5カ月ぶりの上昇率を記録した。
関係者によると、エリオットが三井不に提言していた資産売却規模は5000億円程度。三井不が発表した計画は、エリオットの期待を大きく上回るものだったという。また、焦点の一つとなっていたオリエンタルランド株の扱いについては今回の計画で明確にされていないものの、政策保有株の半減方針がポジティブに評価されているという。
エリオットによる株式保有が明らかになった2月以降、三井不の株価は大幅に上昇して史上最高値を更新。12日終値は1675円で37%上昇した。エリオットでは同社の株式価値を2400円程度と見込んでおり、引き続き投資を継続していく方針だという。2月時点でエリオットは三井不株の少なくとも2.5%程度を保有しており、現時点でも保有水準に大きな変化はないという。
エリオットは三井不の長期経営計画を歓迎するとの声明を発表している。エリオットの広報担当者はブルームバーグの取材に対し、三井不の株価判断についてコメントを控えた。
三井不動産の植田俊社長は、12日開催した経営方針説明会で、「株価の向上が私の最大のミッションと申し上げてきた」と述べるとともに、どのようにして企業価値を最大化できるのか、投資家との意見交換を経ながら1年間検討してきた、と語った。