ダークヒーローのダブルキャストを演じる尾上松也（左）と松本幸四郎。報道陣から「悪い顔で」の注文に松也は応じるも、幸四郎はおちゃめにニヤニヤ＝東京・内幸町

歌舞伎俳優、松本幸四郎（51）と尾上松也（39）が28日、東京・内幸町の帝国ホテルで、歌舞伎NEXT「朧（おぼろ）の森に棲む鬼」（東京・新橋演舞場で11月30日～12月26日）の製作発表を行った。 シェークスピアの名作「リチャード三世」をベースにした噓と欲望に支配されるダークヒーローの物語で、2人はダブルキャストで主演。2007年に松竹と劇団☆新感線がタッグを組んだ舞台の17年ぶり再演となる。 初演で主役を演じた当時市川染五郎の幸四郎は今回2回目。しかも、ダブルキャストとして何かと比べられるだけに「（松也と）勝負です」とニヤリ。気心の知れた松也は「『勝負だ』と言われても、勘弁してという感じ。でも、三冠王も狙える（ドジャース）大谷翔平さんの名言『憧れるのはやめましょう』の気持ちで、幸四郎さんに挑戦したい」と殊勝に宣言した。 物語は「究極の悪」を体現してエイアン国の王にまで駆け上がる主人公のライと、ライによって地位を剝奪される将軍サダミツを軸に展開する。幸四郎がライのとき松也はサダミツ、逆に松也がライのときは幸四郎がサダミツを演じるユニークなダブルキャストとなる。 報道陣からはタイトルに合わせ、主役の2人に対し「何の鬼か」という質問も。松也は自分を「朝は機嫌の悪い鬼。気をつけなくちゃ」、幸四郎については「話すときに主語がないので、初対面の人は幸四郎さんが何を言ってるのか分からなくて困ることが多い。幸四郎さんは『主語のない鬼』です」と指摘して笑いを取ると、幸四郎は苦笑しきりだった。 ただ、同作はどちらが主役のときも迫力満点のダークヒーローが期待できそう。劇団☆新感線を主宰し、前回に続いて演出を担当するいのうえひでのり氏も「宙乗りや滝の中の立ち回りなど、歌舞伎の魅力を取り入れてダイナミックな演出をする」と約束。かなりパワーアップした内容になりそうだ。 東京公演の後は来年2月4～25日まで、福岡・博多座で上演される。