WBC世界バンタム級山中慎介、世界戦のグローブは黒か青か?で場外戦勃発
WBC世界バンタム級王者の山中慎介(32歳、帝拳)の7度目の防衛戦(22日、代々木第二体育館)の調印式並びに記者会見が20日、都内のホテルで行われ、挑戦者の同級1位、スリヤン・ソールンビサイ(25歳、タイ)陣営がグローブにクレームをつける騒動があった。調印式では、当日の試合で使用するグローブチェックが行われる。今回のタイトル戦では、8オンスの日本製のグローブが使用されるが、製造過程で綿の硬さや詰められ方に微妙なムラがあるため、それぞれ同タイプの2種類のグローブが用意され、本人が実際に装着した上で感触などを確かめて選び、両陣営並びに立会人とJBCのサインをした上で当日まで封印される。 また数年前からエンターテイメント性に加え、ファンとジャッジが判別しやすいように王者と挑戦者が色違いのグローブを使用することが世界でも主流となっていて、今回も、山中が黒を選び、挑戦者のスリヤンは青となっていたが、そのグローブチェックの最中にタイ陣営のスチュアート・プロモーターが、「不公平だ。我々も黒のグローブを使わせろ!」と訴えたのだ。 WBCの立会人が「事前に色違いのグローブをつけることと、色の選択は王者側になることは契約書にも書かれていて合意しているはずだ!」と説明したが、スチュアート・プロモーターは納得せず「公平じゃない。それなら山中が選んだ黒のグローブをチェックさせろ」とゴネた。 仕方なく、山中陣営がサインしたグローブを渡してチェックをさせたが、その一連の騒ぎが終わるまで壇上で待たされた山中は憮然とした表情。 「ああ、またかという気持ちでした。早く終わってくれないかなと思ってみていた。それなら、こっちが青でもいいし、お互い黒でもなんの問題もないんだから」 スチュアート・プロモーターは、シリモンコンや、ウィラポンなど歴代のWBCバンタム級王者を育てたタイでは有名なジム経営者で、いつもこのような揺さぶりを相手陣営に仕掛けてくる。筆者は、3年前にスリヤンと名城信男(現在、近大コーチ)のWBC世界Sフライ級タイトル戦をバンコクの現地で取材したことがあるが、前日計量も自分のジムで行い、なんと秤に細工をしていた。勝つために手段を選ばないことを山中も十分に熟知していて「ああ、またか」という、うんざりした顔で騒動を見守っていたのである。