「心に寄り添う活動をする」 福島県内の医療関係者、続々と石川県へ 能登半島地震
能登半島地震の深刻な被害が伝えられる中、福島県内の医療関係者が6日、続々と石川県に向かった。現地は医療資源が限られ、冬の寒さや重なる余震による心身への悪影響も懸念される。東日本大震災をはじめ過去の大規模災害に対応してきた医師は「心に寄り添う活動をする」と献身を誓う。 ◇ ◇ 日赤県支部は日赤石川県支部の要請を受け、福島赤十字病院の循環器内科主任部長渡部研一医師(54)を班長とする看護師や薬剤師ら8人の救護班を珠洲市に派遣した。7日から9日まで避難所などで避難者の診療や生活環境・衛生状態の改善に当たる。 「傷ついた能登の方々を慰めたい」。渡部医師は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故直後、福島市のあづま総合体育館で相双地方からの避難者に対応。8年前の熊本地震でも被災地医療に携わった。熊本では診察した患者から「大災害を乗り越えた医師が来てくれてありがたい」と感謝され、福島の医療チームへの信頼の厚さを感じたという。
能登の地理的条件や天候を踏まえると、余震や雪への備え、災害関連死の対策が重要とみる。車中泊などによるエコノミークラス症候群の予防にも留意すべきだとし「震災や熊本の経験を生かし、被災者の心と体に寄り添う医療をしたい」と語った。 福島市の福島赤十字病院で出発式が行われ、県支部の久保克昌事務局長と鈴木恭一院長が激励。渡部医師が意気込みを述べた。資機材を積んだ車3台に分乗して出発した。県支部は17~21日に第2班、23~27日に第3班を派遣する。 ◇ ◇ 会津若松市の会津中央病院の災害医療派遣チーム(DMAT)は6日朝、参集場所に指定されている石川県七尾市の公立能登総合病院に向かった。出発するDMATカーを職員が送り出した。 チームは救命救急センターの山村英治医師(44)と看護師、業務調整員各2人の5人で編成する。7日から輪島市の病院か保健所で活動する。9日までの予定。チームによると、能登総合病院には順調に到着したが、輪島市方面は交通網の被害が甚大で、通常1時間ほどの距離が5時間ほどかかる状況だという。
山村医師は東日本大震災や2015(平成27)年9月の関東・東北豪雨の際にDMATとして活動した経験を持つ。「先遣隊が入っており、取り組みの方向性はある程度固まっていると思う。現場のニーズに応えながら活動したい」と意気込みを語った。 この他、郡山市の太田西ノ内病院、白河市の白河厚生総合病院などからもDMATが七尾市に向かった。医師、看護師ら医療従事者が公立能登綜合病院に設けられた能登医療圏DMAT活動拠点本部のもと、9日まで医療支援に当たる。