山﨑賢人VSヒグマのバトルが圧巻 映画『ゴールデンカムイ』は原作ファンも納得の再現度?
リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、北海道・小樽で食べた海鮮丼が忘れられない宮川が『ゴールデンカムイ』をプッシュします。 【写真】再現度は予想以上? 実写版『ゴールデンカムイ』場面カット(多数あり) 「実写化不可能」と言われた『ゴールデンカムイ』がまさかの実写映画化。情報が発表されたときは全く期待していなかったが、蓋を開けてみればこれがビックリ、まあ面白い。原作コミックほぼ未読(1巻途中まで)の立場で見どころを紹介したい。 まずはキャスト。杉元佐一役の主演・山﨑賢人は原作の杉元と比べると全くタイプの異なる人選に思えるが、これが意外とハマっている。これまでに『キングダム』シリーズをはじめ、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』『斉木楠雄のΨ難』『今際の国のアリス』など数々の人気コミックの実写化作品で主演を務めているだけあり、想像以上の再現度だった。元陸軍兵の杉元を演じるにあたって体を鍛え、約10kg増量して撮影に臨んだというエピソードからも力の入れようが伝わってくる。 原作では10代前半とされているだけに、キャストが発表されたタイミングでもっとも議論を呼んだのがアシリパ役の山田杏奈。ただ、映画を観れば納得のキャスティングだった。淡々としていながらも家族思いでコミカルさも兼ね備えたアシリパというキャラクターと、山田杏奈の抜群の演技力がいい化学反応を生み出していた。彼女にとって間違いなく代表作の一つになるだろう。 尾形百之助役の眞栄田郷敦は出演シーンが僅かながらも圧倒的な存在感を見せつけ、白石由竹役の矢本悠馬はコミックリリーフとして安定の働き。二階堂浩平/洋平の1人2役を演じた栁俊太郎や鶴見篤四郎役の玉木宏のイカれっぷりも最高だった。土方歳三役の舘ひろしはとにかくカッコいい。それぞれのキャラクターは概ね原作ファンも納得の再現度なのではないだろか。 そんなキャスト陣の指揮を執っている監督の久保茂昭ら制作陣の手腕も見事。『HiGH&LOW』シリーズを手がけてきた久保監督だけあって、アクションシーンにはさすがの見応えがあった。原作にはない映画オリジナルの終盤のアクションシーンや、冒頭の戦争アクションもかなりのスケールで描かれるが、個人的に最も驚いたのが杉元(山﨑賢人)とヒグマのバトルシーン。被り物やCGとは思えないようなリアルさで描かれるヒグマの襲撃シーンは、ぜひ映画館の大スクリーンで確かめてほしい。 北海道ロケによる自然あふれる映像美やアイヌ文化などそれ以外にも見どころがたくさんあるが、惜しむらくはそのスケールが2時間の映画1本には収まっていないこと。映画を観終わって劇場を去る際には、誰しもが「これは続編をやってもらわなきゃ困る!」と思うはず。『キングダム』に続く、新たな人気コミック実写映画のシリーズ化に期待したい。 ※アシリパの「リ」は小文字が正式表記。
宮川翔