神宮外苑再開発、環境破壊は「誤解」 伊藤忠商事が指摘 樹木維持の資金捻出に理解求める
東京都知事選(7日投開票)で一部の候補が争点としている明治神宮外苑(新宿区など)の再開発事業を巡り、事業に携わる大手商社の伊藤忠商事がコメントを出した。「われわれの計画は『みどりを守る』プロジェクトだ」として、環境破壊につながるとの訴えは「まったくの誤解だ」と指摘。樹木の維持管理に必要な資金を捻出するためにも、周辺施設の建て替えを行うことが必要だと理解を求めた。 ■築100年…建て替えが課題に 伊藤忠商事は、三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センターとコンソーシアム(共同事業体)を作って再開発事業を進めている。 コメントでは、神宮外苑の緑は人工林であり、管理や維持を行っているのは行政などではなく、明治神宮などの土地所有者だと指摘。土地所有者の自助努力で、これまで外苑の緑は守られてきたと強調した。そのうえで、樹木の維持管理に使う資金は、秩父宮ラグビー場、神宮球場等神宮外苑にある施設からの収入より得ているが、ラグビー場は建設から76年、神宮球場は同100年程度が過ぎており、建て替えが「喫緊の課題」になっているとした。 これら施設の建て替えが進まない場合、老朽化が進み、近い将来に樹木の維持管理に必要な資金を得ることは困難になるとも訴えた。 ■緑の量「これまでより増やす」 再開発計画については、「既存樹木を出来る限り守りながら移植や新植もおこない、緑の量をこれまでよりも増やし、より豊かな自然環境を創っていく」と説明。「有名な4列の銀杏並木については計画策定当初から伐採が検討されたことは全くなく、将来にわたり保全される」と強調した。 また、現地に伊藤忠商事の東京本社ビルがあることにも言及し、「青山のこの地で43年にわたり東京本社ビルを構えてきた当社としても、都内でも稀有(けう)な素晴らしい神宮外苑の環境が破壊されることは、皆さまと同じく認め難いことであり、全く望んでいない」として、自然環境を守ることが同社の利益にもなると強調。コメントは「改めまして正しいご理解を深めていただきたい」とも書き込んでいる。 ■悪質行為には「毅然と対応」