バカ正直で不器用、そして、まっすぐ(後編)大野HCから言われているのは「打てるシュートは迷わず打て(Bリーグ・三遠ネオフェニックス 津屋一球)
「大変だけど楽しいです。特に今シーズンは同じ移籍組として吉井(裕鷹)や湧川(颯斗)が入ってきて、めちゃくちゃ刺激を受けているし、それがすごく楽しいです」 吉井は同い年の26歳。湧川は20歳。だが、学ぶことに年齢は関係ない。彼らがすばらしいプレーをすれば素直に感心し、同時に「そのスキルを盗みたい」と思うそうだ。 「同級生であろうが、年下であろうがそこは同じですね。彼らから勉強させてもらうことはたくさんあるし、同じチームメートとしては、それぞれ持ってるものが違って、役割も違うので、お互い『自分が今こう動いたらあいつが生きるだろう』と考えてプレーしていると思います」
一歩一歩着実にステップを踏んでいきたい
三遠への移籍を決めたオフシーズンは青森の実家に帰ったり、オリンピック前の代表合宿で東京に来ていた同期の仲間たちと食事に出かけたりした。「のんびり過ごしましたね。たっぷり休養できたオフでした」── 驚いたことにオフの1か月間、ボールにはまったく触れなかったという。 「これはもうオフになる前から決めていたことなんです。昨シーズン、チャンピオンシップには出られなかったけど、自分としてはすごくやり切った感があったんですね。『力を出し切って成長する』という自分の目標は達成できたんじゃないかと思って1ヶ月間自分に休養を与えることにしたんです。もちろん、1か月ボールに触らなかったことなんて初めてでした。筋肉量を落とさないためのトレーニングはやりましたが、ボールには一切触れない、つまりバスケットはやらない。前の年のオフもそうですが、ずーっとバスケをやって他のことは全然できなかったので、今年は逆にバスケはやらないことにしようと決めたんです。禁断症状も出なかったですね(笑)。むしろ1か月ぶりにボールを持ったとき、なんか新鮮な感じがしてよかったです」 オンからオフ、オフからオンへの切り替えは万全で迎えた今シーズン、開幕して9試合を終えた10月27日現在のスタッツは、4試合にスタメン出場、平均プレータイム20.58分、平均6.2得点、3ポイントシュート44.7%。本人が「僕のもう一つのストロングポイント」と言うディフェンスでも良い仕事ぶりが光る。 「琉球ゴールデンキングスとアルバルク東京にそれぞれ1敗を喫して現在は7勝2敗ですが、毎日の練習を大事にやっていけば、これからもどんどん上がっていけると思っています。今のメンバーでやるバスケットはそう簡単には負けません。そのための練習、そのためのプロセスを大事にすることが僕の今シーズンの目標でもあるので、それはブレることなく貫きたいです」 掲げる目標や課題は他にもある。 「最終な目標は当然優勝ですが、その前に自分がまだ出たことがないチャンピオンシップに出ること、3ポイントシュートで上位にランキング入りすること、ハンドラーのスキルを身につけること。うーん、もっと細かいことまで言ったらきりがなくなっちゃいますね(笑)。とにかく毎日の練習を通して、1つずつ着実にステップアップできるよう頑張っていきたいです」 焦らず、へこたれず、自分が決めた道をまっすぐ一歩一歩進む。それはこれまでも、そしてこれからも変わらない津屋一球の生き方だ。
松原貴実