「寝室に“広さ”はいらない!」気鋭の建築家が、4.5畳の寝室を推すワケ
---------- 人生でいちばん高価な買い物、マイホームをせっかく建てたのに、「こんなはずじゃなかった」と後悔する人があまりに多いのはなぜなのか? 気鋭の建築家・内山里江氏は言います。 「日本人が家づくりに失敗する最大の理由は、たとえば『家は南向きじゃなきゃダメ』とか『窓は大きいほうがいい』といった『間違った常識』によるものです。私は本書でそうした間違った常識をすべてひっくり返します」 内山氏の最新刊『家は南向きじゃなくていい』から、間違いだらけの家づくりをしないための方法を連載形式でお届けします。 ---------- 常識を覆しまくる建築家が提案する「寝室をまるごとベッドに」の新提案
寝るだけの寝室に広さはいらない
理想の家をつくるのに無尽蔵にお金を費やせれば言うことはありませんが、普通はどこかで線引きしたり折り合いをつけたりしなくてはなりません。しかし、それは決して「我慢する」ということではありません。 今ある条件のなかで、自分の望む暮らしを叶える設計は必ずできます。大事なのはメリハリです。 トイレやお風呂などの汚れやすく掃除の手間がかかる場所はコンパクトにしたり、個室をつくらずフリースペースにしたりといったこともその一環です。お金と面積をかけるなら、思い入れのある場所に限定しましょう。そうすれば、我慢している感を抱かずに、素敵な毎日を過ごせます。 トイレやお風呂以外に「コンパクトでいい」と私が考えているのは、実は「寝室」です。寝室というと、ベッドを置くことを考えると最低でも6畳はマストと思われがちですが、ミニマム4.5畳でいけます。 「4.5畳!? 無理でしょ」と思われるかもしれませんね。いいえ、可能です。これからご紹介する方法を使えば、です。 その方法とは「部屋全体をベッドにする」です。既製のベッドは使いません。部屋全体にマットレス(あるいは敷布団)を敷くのです。写真をご覧ください。どうでしょう、まったく無駄がないと思いませんか。
そもそも寝室とは? と考えてみる
そもそも、寝るだけの部屋にそんなにスペースは必要でしょうか。 あえて寝室で趣味の活動をしたりクローゼットを併設したりする必要があるのなら話は別ですが、最近の家は、ウォークインクローゼット兼フィッティングルームのような、家族の服をまとめて収納する場所をランドリーコーナー付近に設けることが多いです。趣味のスペースも、別途で設けることがほとんどです。 つまり、寝室は本当に「寝るだけの場所」なのです。 そのような部屋に余分なスペースは必要ありませんし、天井高だってさほどいりません。窓だってなくてもいいくらいです。さらに言うと、ひと昔前の家のように寝室に絨毯を敷いて大きなベッドを置くことは、ベッド下や横の隙間の掃除に苦労するばかりで、メリットはほぼありません。 次回は<「ベッド下の掃除も必要なし!」常識を覆しまくる建築家が提案する「寝室をまるごとベッドにする」の衝撃>
内山 里江(一級建築士 株式会社コモドデザイン代表)