カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
ペイント作業よりも大変な下処理と脱脂洗浄
リペイント作業前には、サンドブラストによってアルミ地肌を露出した後に、純正仕上げに模したマスキングを施し、それから実際の塗り作業へ移行します。
この下処理のサンドブラストも、マスキングもガンコートペイントもDIYで仕上げましたので、サンドブラスト後の部品洗浄には気を配らないといけません。
プロショップで行われる、より確実な脱脂洗浄方法としては、サンドブラスト後のエンジン部品は、純水と呼ばれる脱脂能力が高い水の中に浸され、超音波洗浄が施されます。単純なエアーブローだけでは落とし切れないサンドブラストメディアは、純水超音波洗浄によって、徹底的に除去されます。レストアのプロショップでは、このような段取りで作業が進められていきます。
しかし、作業担当者であるぼくのガレージには、そのような機器がありませんので、ぼくの場合は、中性洗剤を入れた水道水の中でブラシを使って徹底的に洗浄し、洗浄後のエンジン部品はすべて「だるまストーブ」の上でしっかり温めて、乾燥させた後に徹底的なエアーブローを行います。
部品が熱くなるまで完全乾燥させた後に、圧縮空気でエアーブローすることで、サンドブラストメディアは除去しやすくなります。水分を吸収したメディアがオイル通路などに引っ掛かっていると、エアーブローでは除去し切れないことが多くあります。しかし、部品をしっかり温めて乾燥させることで、オイル通路内に残留した水分が乾燥し、残留メディアも吹き飛ばすことができます。それでもやっぱり、超音波洗浄機はぼくにとっても欲しい機器のひとつになります。
フルレストア済みとして販売されている車両の中には、面倒なマスキングを施さず、ペイントされている例も珍しくはありません。 工数=時間的な労力を考えれば、致し方ないことだと思います。そこまで求めるレストアには、相当な手間=工賃がかかることも覚悟しなくてはいけません。 しかし、DIYペイントなら、心配ご無用です。手間を惜しむことなく作業進行すれば、良い仕上がりになります。空冷Z系エンジンに限らず、マスキング&ペイントの機会があった時には、ここに紹介するような脱脂洗浄手順とマスキング作戦で、納得の仕上がりを追及していきたいものです。
たぐちかつみ