センバツ高校野球 中央学院、初の8強 総力戦で猛追振り切る /千葉
第96回選抜高校野球大会第8日の27日、中央学院は2回戦で宇治山田商(三重)に7-6で競り勝ち、春夏通じて初の準々決勝進出を果たした。二回に臼井夕馬(3年)の犠飛で1点を先取すると、四回までに7点をリード。後半に猛追を受け、九回に一打同点のピンチを迎えたが、颯佐心汰(さっさここた)(同)の力投で切り抜けた。中央学院は大会第9日第3試合(28日午後1時半試合開始予定)の準々決勝で、センバツでは初の8強入りを決めた青森山田(青森)と対戦する。【林帆南、小坂春乃】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 先制点を挙げたのは、この日も中央学院だった。二回の先制で流れを引き寄せた。 犠飛で先取点を挙げた臼井の父卓也さん(40)は「仲間と一緒に成長してきた。きっと今も楽しんでいると思う」と喜んだ。その裏では2死一、三塁で、捕手の飯山成夢(3年)がバックネット付近に飛んだファウルボールを追い掛けて好捕。これに仲間が勢いづいた。 三回に連続四球で一、二塁の好機をつくると、颯佐、森田倫揮(ともき)(同)の連続適時打と敵失で3点を奪った。四回には、敵失と水嶋悠(同)の適時打、中村研心(同)の適時二塁打で3点を加えた。 だが、6点差で迎えた六回に反撃が始まった。宇治山田商は適時打や犠飛などで3点を返すと、八回には1死一、三塁の場面で重盗を仕掛けて1点差まで詰め寄った。九回には1死一塁のピンチが。そこで伝令に出されたのは宮内優吏(すぐり)(同)。チーム随一のムードメーカーの登場に、マウンドに集まったナインの雰囲気が一変、リラックスし、冷静さを取り戻した。 颯佐にはさらに、ゆっくりと投球できるように飯山がリードした。飯山の父で、元プロ野球選手の裕志さん(44)は「大したもの。寮生活で人を思いやることができるようになった」と息子の成長に目を細めた。 3日連続で試合が順延された影響で、応援団は予定の半分しか集まることができなかったが、野球部員を中心に大きな声援を送り続けた。野球部マネジャーの中村彩夏さん(3年)は吹奏楽部員に加わって得意のフルート演奏で応援した。「練習の成果を思う存分発揮して」との思いを込めて選手たちを見守った。最後は颯佐が中飛に打ち取ってゲームセット。応援団副団長の川瀬健太朗さん(2年)は「総力戦で勝てました」と喜んだ。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇二刀流、窮地しのぐ 中央学院 颯佐心汰内野手(3年) 1点リードで迎えた九回2死二塁。遊撃手と投手をこなす二刀流は、一打同点の場面でも動じることはなかった。「自分は腕を振るだけ」と仲間を信じて投げ続けた。 憧れ続けた甲子園。しかし、耐久(和歌山)との初戦は思うようなプレーができなかった。雰囲気にのまれ、相手チームの大声援に動揺し、救援後の七回に痛恨の押し出し四球を与えた。このままでは勝てないと、この日は対戦相手の応援動画を繰り返し見て備えた。 六回につかまり、7点のリードを3点差まで追い上げられた先発の臼井夕馬(3年)に「任せろ」と声をかけ、2死一塁の場面でマウンドに立つと、捕邪飛に仕留めた。八回には連打や重盗で2点を奪われたが、最速140キロを超える得意の直球や変化球を織り交ぜながら窮地をしのいだ。 この日は適時打を放つなど打撃でも貢献。相馬幸樹監督も「場数を踏みながら力を増していく」と評価するが、本人は「自分の持っている力はまだ出せていない」と満足する様子はない。「一戦必勝で戦うだけ」と次戦を見据えた。【林帆南】