【ドル円相場】年内に「140円割れ」はあるか?ドル安・円高が〈急速に進んだ理由〉と今後の展望(ストラテジストが解説)
※本稿は、チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。
●ドル円は植田総裁発言などを背景に急速なドル安・円高が進行したが、やや先走り過ぎの感あり。 ●改めてテクニカル分析を確認するとパラボリックは引き続きドル安・円高トレンドを示唆している状況。 ●一目均衡表もドル売りシグナル点灯中、年内は日米金融政策に注目も140円割れは想定せず。
ドル円は植田総裁発言などを背景に急速なドル安・円高が進行したが、やや先走り過ぎの感あり
ドル円は12月7日、日銀による早期の緩和修正観測を背景に、ドル安・円高が急速に進み、一時1ドル=141円71銭水準をつけました。早期修正観測が浮上したきっかけは、日銀の植田和男総裁が同日午前の参議院財政金融委員会で「(金融政策の運営は)年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言したことでした。また、植田総裁と岸田文雄首相が同日午後に首相官邸で会談したことも、早期修正の思惑を強めたとみられます。 なお、植田総裁のチャレンジングという言葉は、金融政策の運営という職務について述べたものでしたが、昨日のドル円相場の動きをみると、市場は「異次元緩和からの脱却はチャレンジングで、年末か年始にも決断される」と解釈してしまったように思われます。そのため、市場はやや先走り過ぎの感がありますが、以下、今後のドル円相場の方向性について考えてみます。
改めてテクニカル分析を確認するとパラボリックは引き続きドル安・円高トレンドを示唆している状況
11月22日付レポートでは、「パラボリック」と「一目均衡表」という2つのテクニカル分析を用いてドル円の動きを検証し、「歴史的な円安局面は終了しつつあるようだが、まだ初期の段階で、目先のドル円の動きが重要な要素」と指摘しました。そこで、昨日までのドル円のデータを用いて、パラボリックと一目均衡表を更新します。パラボリックは図表1で、一目均衡表は図表2で、それぞれ示しました。 まず、パラボリックについては、11月22日付レポートで、ドル円の日足が11月17日にSAR(ストップ・アンド・リバース)に接し、ドル安・円高へのトレンド転換が示唆されたことを指摘しました。その後は実際にドル安・円高が進行し、パラボリックは引き続きドル安・円高トレンドを示唆しています。なお、SARは昨日時点で148円60銭水準に位置していますが、ドル円がこの水準付近まで反発すればトレンド転換の可能性は高まります。
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