『正直不動産2』ディーン・フジオカの悪魔のような所業 悲しい過去を思わせる一幕も
神木(ディーン・フジオカ)はなぜNo.1にこだわるのか
また気になるのは、物語序盤に、すれ違った親子に見せたどこか悲しげな面持ちだ。母と子の何気ない会話に神木は思わず足を止めた。楽しげな親子の様子とは対照的に、神木からは寂しげな空気が醸し出される。そして親子を見送りながら、かすかに微笑んだように見えた。登坂不動産に牙をむく神木はまるで悪魔のようだが、焦りや苛立ち、営業スマイルではないかすかな微笑みから、そんな神木の人間らしい一面が垣間見える。 神木が登坂不動産を退社し、街頭で鵤にスカウトされるまでの物語はまだ描かれていない。なぜそこまでNo.1にこだわるのか。なぜ姑息な手を使ってでも執念深く永瀬を追い詰めるのか。「地獄? 上等だよ」と口にした神木はもしかすると、とうの昔に地獄を見た人物なのかもしれない。 第5話では、友人を守りたい一心で“風”に抗う永瀬の姿も心を打った。“風”の力で嘘がつけないことを快く思っているわけではないが、今の永瀬はかつての永瀬とは違う。友人を守るために口を閉ざしていたのは確かだが、真実と嘘の間で葛藤していたようにも見えたのが印象的だった。その後、永瀬は“風”の力なしに、梅村と直に「下手をすれば刑事告訴や民事裁判。最悪、逮捕される可能性もある」と正直に伝えている。 永瀬が“風”から解放される未来があるのかはわからない。けれど、そのうち、永瀬が自分自身の正直な言葉だけで「お客様が一番幸せになれる家」を提供していくような予感がした。「同級生のためと思って、相手の家族のこと、全然見れてなかった」と反省する永瀬の姿は魅力的に映った。
片山香帆